DO YOU SPEAK ATLAS?|第13話

季節はついに7月になった。暑い時期の到来である。由起夫君は暑さが一番苦手である。彼はああ見えても清潔好きで、汗ばむ不潔感には耐えられないようだ。

マンツーマンレッスンは30回目を数えようとしていた。この日、彼はいつものようにデレックに教わることになる。彼は、前々から好きなステファニーにことを解決すべく、デレックに頼みごとをしようと思っていた。

「君は仕事は何をやっているの?」

デレックにこう聞かれ、彼は応えた。

「システムエンジニアだよ」

しかし、システムエンジニアといっても、経験のない者にはなかなか想像しづらいものらしい。そこで由起夫君は、ノートに絵を描いて、彼に説明してみようと思い立った。

「依頼者からもらった原案をソフトにするための作業をするんだ。動画系ならフラッシュソフトなどを使ってアニメーションを作成して、それぞれのエンジニアが作成したアニメーションを組み合わせて商品にするんだ。その作動が問題ないかチェックしてメールで送信する。この最終作業が僕の仕事なんだ」

デレックはちんぷんかんぷんな顔をしている。しかし図を描いて見せたので少々は納得がいったようである。

60分が過ぎ、デレックがレッスンブースを退出しようとしているのを由起夫君は呼びとめた。

「あ、デレック、ちょっと頼みごとをしてもいいかな」

「え、何かな」

「少しばかり個人的なことなんだが」

他にも生徒がいるので由起夫君は躊躇した。それを察したのか、デレックは、

「もし差し支えがあるんだったら、後で下のコーヒーショップで聞くけれど」

「いや、ここでいいよ」と由起夫君。

さすがに下のドトールでコーヒー代まで払ってもらうのは悪いと思った。

「実はステファニーのことなんだけど」

デレックは、成る程といったような顔をしている。彼も二人が怪しいという噂は耳にしていたのだろう。

「彼女最近見かけないけど、今どうしているかな」

「彼女は今、アメリカに帰省しているみたいなんだ」

「いつ日本に戻ってくるの?」

「一ヵ月滞在するって言っていたから、あと一週間ほどで帰ってくるよ」

それを聞いて由起夫君はホッとした。彼は講師の事情にはまだ暗かった。

「今度二人で話がしたいんだけど、彼女にそう伝えといてくれないかな」

デレックは何か考え深げであったが、最後に承諾してくれた。由起夫君は喜んだ。


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