DO YOU SPEAK ATLAS?|第23話

数日後、由起夫君は63回目のマンツーマンレッスンを受けた。講師は担当のクリスティーナである。

「大都市に住むのと田舎に住むのとどっちが好きですか」

クリスティーナは由起夫君に対して尋ねた。

「僕は田舎の方が好きですね」

と由起夫君。

「私もよ。都会ってゴミゴミしていて嫌よね、騒々しくて落ち着かないわ。ユキオはどう思う?」

クリスティーナに尋ねられて、由起夫君は考えた。田舎は確かにのんびりしていていいが、都会の便利さも捨て難い。

「僕は、大都会に近い田舎に住みたいなあ」

クリスティーナはその応えを聞いて、少々心外だったようである。由起夫君は続けた。

「あまり片田舎じゃ何も楽しむものがないし、かといって大都市でひしめき合って暮らすのも大変だし…。都会に近い郊外なら、両方の良い面を享受できて、いいんじゃないかなあ。横浜は十分都会だけどね」

彼は横浜市民である。こういって彼は国際都市横浜のお国自慢をしてみせた。

「横浜はいいところだと思うけど、私の故郷はもっと自然と都市とが調和していて、すごくきれいなのよ」

クリスティーナは、オーストラリアの西海岸にあるブリスベン市の出身である。由起夫君もそれは想像できるのだが、ゴミゴミとした町でも永年住むとそれなりに味わいが出てくるものと実感してはいた。

レッスン終了後、筆記用具を片づけているクリスティーナに由起夫君は話しかけた。

「実はプレゼントがあるんだ」

「あら、本当?」

彼女はある程度、予期していたように見えた。

「先日、会社の社員旅行で、北海道のニセコに行って来たんだ。ニセコって知ってる?」

「もちろんよ。オージーがたくさんいるところでしょ?私もスノーボードをしに去年行って来たわよ」

「そうなんだ。そこのミルク工房を見学しに行ったんだ。ついでに宝石を買ってきた」

「わあ!」

彼女は目を輝かせた。

「これ君にあげる」


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