DO YOU SPEAK ATLAS?|第24話

由起夫君はプレゼントをクリスティーナに手渡した。彼女は喜びを隠せない様子である。

「これ、明けてもいいかな」

そう言って彼女は箱を開けた。中には真珠のネックレスが入っている。

「本当にありがとう!」

彼女は感謝を言い尽くせない。何かを話し続けたい気であったが、何も思い浮かばないようだ。由起夫君も同じなので、

「また今度、また今度…」

と口ごもって言った。クリスティーナは退出した。

彼女喜んでいたようだけど。彼は、はにかんでいるようである。

さて、その後数週間は、平穏無事な日々が続いた。周囲の講師や生徒たちもクリスティーナと由起夫君の中を公認し始めているように見えた。しかし、こういう時が一番危ないのである。

レッスン67回目、クリスティーナがレッスンブースに入ってきた。

What am I doing here?(私は今、何をしているのでしょうか?)」

開口一番、彼はそう言った。彼は何か正確な応えを期待していたらしが、由起夫君にはピンとこない。しかし何か言わなければと思い、こう応えた。

「あなたは今、レッスンブースに入っているところ」

「その通り」

彼は応えた。

「私は今、何をしているでしょうか?」

彼が再び質問したので、由起夫君は応えた。

「君は今、座ろうとしているところだ」

「その通り」

クリスティーナは、どうやら現在進行形の英語表現を学ばせようとしていたらしい。彼なりに知恵を絞って、レッスンを面白くしようと試みているのだが、由起夫君には何かしら滑稽に感じられた。

「私は今、何をしているのでしょうか?」

彼が同じ質問を繰り返したので、由起夫君はこう応えた。

「あなたは今、テキストを開こうとしているとことだ」

「その通り」

由起夫君は段々退屈し始めた。しばらくして、二人でがロールプレイをするためにクリスティーナがルールを説明し始めた。

「あなたは、魚と肉、どちらが好きですか?

「はい?」と由起夫君。

「あなたは、魚と肉、どちらが好きですか?」

「ああ、僕は魚の方が好きだな」

「この場合、『私は魚を好みます』と言ったほうがいい」

クリスティーナがそう言うので、由起夫君もそれに従った。レッスンが終了した。

「さあ、今日は2つの表現を学びました。『私は~しているところです』と『私は~を「好みます」の2つです。家で復習してくださいね。それでは、Bye!

彼女はレッスンブースを去っていった。

クリスティーナ、僕のことあまり見てなかったな」

由起夫君は不満を漏らした。果たして英会話講師という職業を理解できない由起夫君が傲慢なのか、それとも杓子定規でレッスンを進めようとするクリスティーナが、気がきかないのかは判断しかねます。しかしこのマンツーマンレッスンを機にして、由起夫君とクリスティーナとの間に亀裂が生じつつあった。


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