DO YOU SPEAK ATLAS?|第28話

11月である。秋も深まり、紅葉を楽しむことができる季節になった。この月、由起夫君はTOEFLの受験を試みた。これで2回目である。勉強のかいもあって、高得点を得ることができれば良いのであるが、結果は1ヵ月ほど経たないと分からない。彼は12月まで結果が郵送されて来るのを待たなければならなかった。

そこで彼は、この期間を利用して、初めての海外旅行に挑戦することにした。彼は不精な男なので、様々な手続きを済ますのが面倒で、今まで旅行代理店に足を運び、ひと通りの手続きを済ませるに至った。

行先はアメリカ西海岸ロサンゼルスである。ハワイからアラスカを除き、日本から一番近いアメリカ合衆国第2の大都市である。彼は9時間半のフライトでヘトヘトになったものの、初めて目にする異国の地で、感動したようであった。Atlasマンツーマン英会話横浜ラーニングスタジオで、この地出身の講師が一人いた。デレックである。由起夫君は、旅行に出発する前に、彼から次のように言われていた。

「ダウンタウンにはいかない方が良いよ。スラム街なんかは危ないから」

「どのあたりにあるの?」

「ロサンゼルスの西の方だね。僕が住んでいた頃は、このあたりに行くときは銃を携帯していたから」

由起夫君は身震いした。彼はとりあえず、彼の言うことを従うことにしたが、この時、彼の頭をかすめるものがあった。

「スラム街であれば、危ないのか……」

それまでは、彼はこうした問題に頭を悩ますことはなかったが、その後、彼の語学力が増すにつれて、彼もこうした問題に巻き込まれていくようになる。

旅行日程は5日間で、到着した初日は市内観光であった。2日目に彼はオプショナルツアーで、ユニバーサルスタジオに行き、そこでナイトショーを鑑賞した。手品のようであった。残る1日で、4日目の朝には帰途のために空港に向かうのであるが、残りの3日目に、彼は自由行動をとった。日本人の刊行ガイドに付き添ってもらってばかりでは、英語修業の旅にならないと彼は判断したようである。

彼はリトルトーキョーという日本人街に近い場所に宿をとっていたが、そこから歩いてUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)という大学まで行くことにした。歩くには随分長い距離なのだが、彼は観光地ばかりではなく、外国の町中を徘徊して回りたかったようだ。ウィルシャー・ストリートという大きな街道に沿って歩いて行ったが、途中には州立公園があり、博物館があり、日本と同じセブンイレブンがあり……、1ドルショップもあった。日本でいう百円ショップみたいなものであろう。生活などというのは、その国に行っても変わらないものだなと彼は感じながら、秋の暖かな陽射しの中で散歩を楽しんだが、実に5時間もの道のりであったのだ。

UCLAに着いた。実に大きな総合大学である。彼はデジカメであちこちの写真を撮ったが、観光のみが彼の目的なのではない。彼は大学院の入学願書を手に入れようと考えていた。

彼がキャンパス内で迷っていると、カフェテリアに一人の学生が座っているのが見えた。彼は道を尋ねようと思い、彼女に近付いた。


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