私は、経済産業省のデータをもとに業界の動向を分析・検証し翌年度の傾向を読んでいる。毎年データが出揃い、1995年から2014年までのデータを通して傾向がはっきりとした。このうち、私が分析したデータの一部を公開しよう。
2014年は7月から消費税増税の影響もあり、例年になくどこのスクールも新規生徒の契約が減少したという声を聞くが、数値的には前年比マイナスとなった。トータルでは新規入学生数も前年割れを起こした月は10カ月で、前年を下回る結果を出した。
○データ・マーケティングのポイント
今年は英会話スクールに通う人口が60万人を超えた。全体の売上高が前年比で伸びていること、生徒数が増えていることから見て、英会話スクール業界はまだまだ右肩上がりの状況が続いていくと思われる。
この60万人という数字は英会話スクールにとって、市場シェア率を換算するひとつの目安となる。各スクールもこの数字を元に年度計画を立ててみてはいかがだろうか。
また、特に気になるのは実数だが、これに関しては直接的に裏付ける資料がない。経産省の統計が日本全国をくまなくカバーしているとはいえないので、英会話人口の実数は60万人よりもさらに多いといえそうだが、実情はそうではない。
実際には英会話スクールに対して中途解約をせずに通っていない生徒、つまりゴースト(幽霊)生徒が数多くいる現状を考慮すると、実際には最高で20%ぐらいダウンするというのが現実的な見方ではないだろうか。
○今後の英会話スクールの目指す方向
「消費税増税だ、円安・円高だ、不況だ」という理由は明らかに英会話スクール業界では通用しないことが分かった。経営計画が行き詰まっているスクールはこのあたりで本当に経営方針を転換しないといけなくなってきた。そうしないとNOVAやジオスのようになってしまう。
サービスだけに力を入れて大手スクールを批判して満足するスクールはもう通用しない。大手と同じ営業方法をとって成果を出さないスクールも成功しない。業界が上向きの今年の内にマーケットシェアを上げなくては、いずれ伸び率が止まったとき、下がりはじめたときに必ず破綻する。
じっくりと生徒といい関係を築きながら、というスクールも方針は間違っていない。しかし、その方針が正しいのならより多くの人にその良さを知ってもらうほうが良いに決まっているし、業界そのものがこれから先も伸びているのは明らかな事実なのだから、そのチャンスはますます大きくなっているといえるのだ。ここで勢いと体力をつけて、ぜひともすばらしい経営をしてもらいたい。
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