○優秀な日本人スクールカウンセラー獲得の難しさ
英会話スクールにおいて貴重な存在は、やはり何を置いても人材の一言に尽きる。日本人を講師として採用しているスクールの中には、帰国子女やバイリンガルの講師がいたりしてそれ相応に教え方の上手な人材がいる場合がある。
彼・彼女らは教務面に非常に熱心に取り組むし、日本人の英会話に対する弱点なども正確に把握している場合が多い。
このような講師であれば「是非とも我がスクールに」と考える経営者の方もいると思う。しかし、そういった人材が来てくれない問題は経営側にある場合が多く、当然ながら上手く使いこなせることは非常に少ないと言っていい。
英会話スクールのレッスンというものは、そもそもグループレッスンを主体として運営されている。これはマネジメントの面からも都合がいいし、経費の面からも優れているということに間違いはないかもしれない。
ただし、教務の面から見た場合、グループレッスンをテクニカルに運営しようとすれば、レベル分けから始まって、最後にはカリキュラムに則してレッスンを進めなくてはならない。
そして、多くの場合はレベル分けが時間帯や教室のスペース、人員の問題で上手く分けることができなかったり、講師に教務をする実力がないという理由から講師の力量でレッスンをするために質にバラツキがでたり、ひどいケースではカリキュラムそのものがないということも実際に起こる。
このような場合の実情はかなり悲惨だ。やる気と実力のあるインストラクターが、もっと自分の力を生かすための新天地を求めて転職する場合がある。しかし、それならまだ救いがある。
経営上最悪なのは、実権が彼らに移ってしまい、彼らに正義感があればあるほどレッスンを自分のスタイルで何とかしようとし、それによってさらにバラツキが出るというケースだ。教務面を充実させることがスクールを良くすることにつながるのは確かだが、基準が明確でなくマーケティング上で失敗することになる。責任はもちろん経営者にある。
○そもそもスクールポリシーとは?
残念ながらスクールを倒産・閉鎖せざるを得なかったスクール経営者に話を聞くと、その大半がマーケティング面に弱く、教務面に力を入れて話をするのだが、その教務面でさえ講師がレッスンを行う基準となる「ルール」が設定されていないということが非常に多い。
レッスンの時間配分、カリキュラムの詳細、インストラクターが自由に使える時間、各マテリアルなど。私達のクライアントの中にはこのように断言する人もいる。
「講師には絶対に好きにさせない」 「こちらが厳しく統一感を示さなくてはいけない」
残念ながら日本の英会話スクール(特に大手)には本国に住んでいる外国人よりもスキルが低く、一般的にダメな外国人が多く、にもかかわらず彼らに払う給料が莫大であることを考え合わせると、この発言はうなずかざるを得ない。しかし、スクールポリシーは単なる独裁ではなく、スクールの生命線であるインストラクターが喜んで納得するものでなくてはならない。学校教育をインストラクターで行うだけではどうしても無理がある。
ここでスクール経営者の方に聞きたい。「あなたのスクールのポリシーは何ですか?」と聞かれれば何と答えるだろう。一本筋の通った基準がなければそこに集う人材は組織に魅力を感じないだろうし、基準があっても守られていない状況ではやはり同じである。
個人の自由を尊重スタイルでやっていては、この英会話スクール業界ではやっていけない。「個人の自由を尊重するスタイルが基準だ」「こういった完璧なやり方がある」というのなら万事OKだろう。あまりにも経営者が経営の根幹を知らないケースが多いのだ。
○スクールポリシーは集客につながるか?
まずわかりやすいのは、均整の取れた人材の集まるスクールは体験レッスンに来てさえもらえれば、入会のオーダー率が上がるだろう。あとはどう知ってもらうのかというところだ。この知ってもらうときにもスクールポリシーは大いに役立つ。
なぜなら大手英会話スクールではまだ、テレビなどのマスマーケティングが幅を利かせており、キャッチフレーズは「安い」「少人数」「駅から近い」などの「どこでも同じ状態」から抜け出していない。誰がどこでも同じと思うのか?消費者がそう思うのだ。
ここでスクールポリシーが他のスクールとの違いとして引き立つ強力な武器となる。スクール経営者であるあなたが、どこもやっているからウチもやりましょう。時代の波に乗り遅れないようにしましょうでは、当たり前だが通用しない。理由は同じやり方なら体力のある大手英会話スクールが勝つに決まっているからだ。
しかし「大手では絶対に不可能な○○をウチはやっていますよ」「こんな画期的なことありましたか」ということができれば、少なくとも今の状態からよりはかなり集客に結びつく数字が増えるはずである。
これはキャッチフレーズでもあるのだが、実質でもあるのだ。
「言っていることとやっていることが一致している」 「尚且つ、そのレベルが非常に高い」
ということを打ち出すことができればマーケティングの基礎の部分は上々だ。
スクールポリシーを貫き通す能力のない経営者は、英語のしゃべれないインストラクターよりもタチが悪い。まずは基本を見直すことから始めてみる方が失敗にないマネジメントの近道になるということは間違いない。
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