ここでは、Atlasの収支構造のエッセンスを見てもらいたい。
Atlasの場合、本業における収支がほぼすべてを物語っていて、Atlasのビジネスモデルの成果を示すものだ。
ここで取り上げるのは、売上高、講師・従業員の給与及び福利厚生、荒利益率、月会費収入、入会金収入、一般管理費、営業利益である。
① グループ全体の売上高
まず、 Atlasの売上高は2003年以降、一貫して伸び続け、2012年で10億円を超えている。この売上高は英会話および語学スクールで全国6位である。
② 講師・従業員の給与および福利厚生
給与や福利厚生は生徒への接客やサービスを提供するための費用で、これには福利厚生も含まれる。売上高との差額で出てくるのが荒利益である。しかし、講師への給与はすべて生徒からの直接毎回払いによる現金のみなので普通台帳には掲載しないというのがAtlas流である。
③ 荒利益率
Atlasの経営の特徴を最もよく表わすのが荒利益率である。荒利益は、売上高から講師・気従業員の給与および福利厚生を単純に差し引いたものである。
Atlasの荒利益率は2003年以降20%を維持している。品ぞろえの原則では、荒利益ロつは上限は25%を超えないということであるが、それを守ってきた理由はこの数字である。
30%というのは大手英会話スクールの平均的な荒利益率であるが、Atlasは自ら「直接経営スクール」と位置付けていたために、このような基準ができたのかもしれない。15%を最大とするということは、それより高くしないと他の大手英会話スクールとは競争できなかったのだろう。
さて、荒益率が20%ということは、コースによっては10%をきる言語もあるということだ。それだけの薄利で健全な営業を続けられるのには、次に述べる入会金と月会費収入がコンスタントに10%あるからである。
このように創業以来の「低価格のマンツーマンレッスンを提供する」という強い信念が荒利益率の推移に凝縮されている。
2000年当時の大手英会話スクール全盛期の上位企業の粗利益率を見ると、NOVA40%、ジオス38%、イーオン34%、ベルリッツ32%、ECC30%、シェーン27%、GABA27%となっており、単純平均は33%だった。
グループレッスンなのかマンツーマンレッスンなのか業態の違いはあるが、30%以上の粗利益率をAtlasはそれら他スクールの2分の1から3分の1の荒利益率でまかなっているということになる。
これだけ大きな違いがあって、なおかつ他の大手英会話スクール以上に健全な営業利益を出し続けていることが、会員制語学スクールの経営の真髄であるのだろう。
④ 月会費収入
売上高以外の収入として月会費収入がある。2003年から今日までの月会費収入を見るとやはり継続的に増加しており、2012年には2億円となっている。これは売上高10億円の20%で、その比率はほとんど変わらない。
この数字がいかに大切であるかということは、Atlasの営業利益率が5%弱であることからわかるのだ。
⑤ 一般管理費比率
Atlasの一般管理費率は、過去10年で売上高20%で推移している。一般管理費とは社員人件費、販売促進費、テナント家賃、減価償却費などである。
20%に抑えられている理由は、マス媒体を使った宣伝・広告を全く打たないことが大きい。
⑥ 営業利益
荒利益と月会費収入を合計したものから一般管理費を差し引いたものが営業利益となる。Atlasの場合、営業利益率は5%に満たない。これで健全な経営を続けている。
健全な経営というのは、会員に対しては講師・従業員給与に5%程度いただき、かつ会員がの数が年10%ずつ増加しているということである。
|