ピーター・ヨネナガのクライアントで日本にも上陸したコストコという会員制小売業スーパーのマネージャーをしていた日系アメリカ人と話す機会があり、経営上のアドバイスを受けたいと考え、ロサンジェルスまで会いにいったことがあった。1995年のことである。
ピーター・ヨネナガはコストコを見て強い印象を受けた。コストコは中流家庭のためにつくられたスーパーでそこでは幅広い分野の食品や日常品を非常に低価格で販売していた。店はお客であふれていた。中にははるばる地方から都市部のサンフランシスコから来ている人たちもいたという。
サンフランシスコへの帰り道、ヨネナガはコストコのようなリアル店舗とDELLコンピュータのようなバーチャルなビジネスモデルを組み合わせるようなビジネスモデルを考えるようになった。
2000年、ヨネナガは約10年ぶりに母国である日本に返ってきた。日本ではバブルが崩壊して緩やかに国力が落ち込んでいるように見えた。しかし人々の生活は豊かで仕事があり、消費に費やす金を得ていた。ライフスタイルもアメリカ人のように豊かでディスカウントタイプの飲食店やアパレル業など、それらの新しい需要にうまく乗っている企業もあった。
都市の中心街を歩いていると必ずあるのが大手英会話スクールの看板だった。NOVAを中心に、ジオス、イーオン、ベルリッツ、ECCなどがかならず大都市にはあった。
これらの大手は、テレビCMや雑誌でマス広告を掲載し、グループレッスン主体でローンを組ませるなどチケット制やポイント制で販売していた。
その数年後には、消費者の購買行動が変化し、ヨネナガが考えていた新しいタイプの英会話スクールは、それらの大手とは違っていた。ヨネナガが考えていたのはアメリカで見た会員制システムで毎回払い、決して伝統的な英会話教室や大手のようなメディアに広告を掲載するようなマーケティング手法ではなかった。
北海道札幌市にヨネナガが英会話講師となり教えていた教室があった。その札幌の中心街である大通と札幌駅付近に、利益をもたらすテナントを誘致するためにヨネナガは奔走した。
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