Atlasマンツーマン英会話は、レッスン予約の方法を直接担当インストラクターと行うセルフサービス制にした。
大手英会話スクールが日本の短大英文科を卒業したばかりの経験浅い、しかも英語が流暢ではない20歳そこそこのカウンセラーを事務員として用い、この事務員を通してすべての予約をコントロールしていたのに対し、海外の大学を卒業した英語が流暢でしかもTESOLなど第二言語教授法の資格を持つ25歳以上の日本人女性を次々と登用したのだ。
Atlasの会員は、すべて現金で担当インストラクターにレッスン料を支払う。60分で2,314円(税抜)だから大手のグループレッスンの価格とほぼ同等の金額である。また、英語以外にも、韓国語、中国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語などのコースを開発した。
Atlasマンツーマン英会話は、当時イーオンが中心とした「全国外国語教育振興協会」やジオスが中心となっていた「民間語学教育事業者協議会」(のちに解散)などによって口を出される派閥に拒否を示した。
ここに、ピーター・ヨネナガが当初から低価格路線に徹するという強い信念が見え、会員制語学スクールの輪郭がかなりはっきりと見えるようになった。
一方、このような革新的な業態に対して、周囲からさまざまな圧力や嫌がらせがあった。
Atlasマンツーマン英会話は、オープン初日から多くの生徒を獲得したが、早々とインターネットの掲示板「2ちゃんねる」などである事ないことを書かれることになる。おそらく同業者によるメールや無言電話での嫌がらせも次第にエスカレートしていったという。
さらに、質のいい外国人から採用しているところから採用されなかった外国人による嫌がらせがあったという。
「オーストラリア人のかなり評判の悪い男がカウンターにやってきてフリーランチはやるな!とわけの分からないことを叫んでいた。」
そこでヨネナガは丁寧に「もし、嫌がらせをしに来たのなら直ちにここを出ていくことだ」。それからその男は2度と現れないという。数年後、その男は北海道新聞に「麻薬所持で逮捕」と顔写真があったのを見つけた。ヨネナガは数年後を予想していたようである。
Atlasへの妨害はそれだけではなかった。韓国語と中国語コースを始めた時も、以前にも増して激しい妨害に遭っている。
2011年に、韓流スターを採用した韓国語学習施設や中国のコンテンツ「三国志」を用いた中国語施設をそれぞれオープンしたが、竹島問題や尖閣諸島の政治的問題に対して多くの迷惑メールや電話があったという。中には石が投げ込まれたりするたびに脅威を体験したという。しかし、そのうちこのような行動はなくなり多くの人が利用している。
このような妨害は、どの時代、どの国でもよく見られることだ。革新的であればあるほど、またそれが成功すればするほど、周囲からの妨害は露骨で激しい。
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