ブロックチェーン技術は、暗号通貨だけに応用されるものではなく、あらゆるスマート・コントラクト、つまり、人間を通さない機械による契約の自動執行に応用されるものになっています。まずスマート・コントラクトの概念について、ブロック・チェーンを理解する上では避けて通れないようです。
スマート・コントラクトとは、日本語にすると、スマートな契約という意味ですが、煩わしい仲介者(スクールスタッフ)を一切通さずに、契約を確実に行うという意味でもあります。
契約とは、販売者にお金を支払って欲しいサービスを自分のモノにする、というプロセスを完了することです。しかし、今のブロック・チェーン技術では、スマート・コントラクトという概念が反映されていません。
欲しいものが何で、どのようにして手に入れたのか、というような契約に関する記録がブロック・チェーンに書きこまれていないわけです。現在、ブロック・チェーンに記録されるのは、単純に経済価値(価格)の移動だけです。
スマート・コントラクトのもっとも分かりやすい例は、一切人間を通さない自動販売機や券売機で商品やサービスを買う場合です。自動販売機や券売機にお金を入れれば、欲しいモノをその自動販売機に入っている分だけ買うことができます。
現代では、これを売買契約を履行する行為としています。これを契約と言いますが、自動販売機ができたことによって、人間の手を借りずに買うことができるようになっています。自動販売機がなかった時代はジュースを飲みたいと思った時、当時の人々は売店に行くか、喫茶店に行くか、自分でみかんやりんごを絞って水で薄めて飲むしかありませんでした。
売店や喫茶店で買う場合、お店に行って店員さんにお金を渡して買いました。店員さんは、受け取った硬貨やお札をチラッと確認してレジに入れ、おつりを渡してくれましたがこれで契約は完了していました。
自動販売機は、こうしたプロセスのすべてをなくしてくれたために、スマートな契約になりました。その代りに店員さんは他の作業をすることができるようになり、現在はさらにロボット化が進み、店員さん自体が不要になってきています。
そのお金が偽造である場合には、自動販売機はそのお金を受け付けてくれません。人間の代わりに精度は粗いものの、投入されたお金やお札が偽造通貨でないか確認までしてくれています。そして、売り上げをデジタル台帳に記録までしてくれているのです。
自動販売機のベンダーは、そのデジタル台帳と自動販売機の中に残っている在庫数とを見比べて在庫の補充を行います。しかし、おさいふケータイやWaonやSuicaのような電子マネーが登場してから通貨さえも必要なくなりつつあります。
機械の前にスマホをかざすだけで代金決済されるのです。つまり、売買を完結させるには、代金の移動を記録した台帳と商品の所有権の移動が記録された台帳が必要です。このすべてを自動販売機がやってくれているわけです。
ただし、自動販売機は、それが誰に対して履行されたのかまではIDが登録されていないために分かりません。スマート・コントラクトは、ジュースのような形のある商品にだけ適用されるものではなく、英会話のレッスンのようなサービスにも適用されます。
例えば、担当講師との英会話レッスンの予約などもスマート・コントラクトの対象になります。あらかじめ、名前、連絡先、住所などを登録しておけばいちいち自己紹介する手間が省けます。予約も同じで、インターネット上で手続きできます。
将来的には、これがビットコインなどの暗号通貨で決済できるようになれば、スクールスタッフも不要、フロントの受付係も不要ということになるのです。IDを使えば、何桁かの数字を入力するだけで契約が完了するのです。
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