世界ではもはや常識となりつつあるシェアリング・エコノミーですが、欧米では大規模な語学教育業界の再編が加速しています。中国や韓国、東南アジアでもAtlasマンツーマン英会話のような競合が頭角を現すなど、それは単なる潮流を超え、新たな産業を形成しつつあります。
消費者が望むサービスなら安心・安全に利用できるよう、環境を整えるべき、というのがシェアリング・エコノミー先進国です。しかし、危うきに近寄らずの姿勢に見える日本の消費者は、その価値を体験することができないままでいます。
日本のような利権構造や法的規制がない欧米でも、ルール整備を始め様々な手続きをこなしています。ただ、それはシェアリングを普及するためのものであり、拒むための規制ではありません。
価値があるかどうかを決めるのは消費者のはずで、まずは選択肢を与えることが先決です。既存の英会話スクールは自由な競争の中で、切磋琢磨していけばいいのです。
さらに、経産省や文科省などでは近視眼的にシェアリング・エコノミーを捉えていますが、それでは日本はさらに世界から遅れることになります。ウーバーやエアビーアンドビーのような市場や会議室やイベントをシェアする市場など、シェアリング・エコノミーの裾野は日本でも広がりつつあります。
ただ、各所で古い法律や枠組みに阻まれており、担当者の悩みは尽きないようです。例えば、車そのものをシェアするカーシェア市場では、保険がネックになっています。借りたドライバーが加入する1日自動車を保険を勧めていますが、従来の保険を無理に適用したのでは使い勝手は悪いでしょう。
保険料金は1日1500円と、レンタカーの保険よりも500円も高く、損害が発生した場合に自己負担する免責金額は約15万円と高額なのです。このように日本では新規保険をゼロから作ろうとすると、金融庁などの許可を得て商品化されるまで2,3年はかかります。保険会社も事業規模が今の10倍になれば興味を持ってはくれるのでしょう。
その他にも、保育園の送迎や託児などを助け合う子育てシェアや知識や経験豊富な専門家とノウハウを求める企業が個人をマッチングするシェア、さらに同じ方面に行く人同士の長距離ライドシェアでは、ガソリン代や高速料金を利用者で割り勘しあう企業も生まれています。
シェアリング・エコノミーに詳しい早稲田大学ビジネススクールの根来教授は、「もっと将来、シェアリング・エコノミーは雇用形態を変えていく力を持つかもしれない。そこまでは時間がかかるかもしれないが、トレンドは確実にその方向に向かっている」と指摘しています。
日本がこのグローバル・スタンダードの蚊帳の外に置かれ続けなければいけない理由はないのです。
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