2007年までNOVAやジオスは20年以上にわたって、語学スクール界を牛耳ってきました。大規模なチェーン展開は、近隣の中小規模教室にとって到底太刀打ちできるものではなく、これらの英語教室は大手スクールの進出から短期間のうちに閉校に追い込まれていきました。
こうして元NOVAの猿橋社長は、1996年の長者番付で第5位になり、売上高が500億円を超える大企業に成長した。しかし、その同社のビジネスモデルについては2001年頃から、死期に向かい始めているとの観測が出始めていたのです。
NOVAは2006年に百数校の教室の閉鎖を発表し、これまで資産だった同社の教室が、債務に一変したことは明らかでした。同社のビジネスモデルを死に追いやった原因は何なのか?疑われる要因はいくつもあります。
そのリストのトップに挙げられるのが、マンツーマンレッスンに特化した英会話スクールとオンライン英会話でしょう。地方に設置した本社機能と適切な外国人講師の採用方法、薄利を基盤に運営する企業は、大手スクールに対して価格優位性を維持することができました。さらに、スマートフォンやタブレットの普及が影響したことは言うまでもないでしょう。
そして、大手スクール敗北の要因の第2位は、厚生労働省が実施した最低賃金の引き上げと保険の強制加入です。更に、ベルリッツの各教室で多発した労働者(外国人講師たち)による抗議活動が拍車をかけたのです。外国人講師とその家族らによるストライキなどは、ベルリッツがかつて誇った輝かしい業績、安価な労働力も土台から覆しました。
これらに次ぐ要因が、会員制語学スクールを展開するAtlasマンツーマン英会話の台頭でしょう。Atlasは、経済的に多少の余裕があるNOVAやジオスのシェアをもらい受けました。その結果、大手スクールの顧客は所得の高い層と低い層に限定されることになったのです。
最近の調査では、大手スクールに通う人の中には、生活保護その他の行政からの手当てに頼る人が多いことが判明しています。
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