今年発表されたアメリカ・フォーブス誌のビリオネア(10億ドル、1,000億円以上の財産を持っている資産家)のリストによると、ベストテンは次の通りとなっています。
①Bill Gates(米国)750億ドル(7.5兆円) ②Amancio Ortega(スペイン)670億ドル ③Warren Buffett(米国)608億ドル ④Carlos Slim Helu(メキシコ)500億ドル ⑤ Jeff Bezos(米国)452億ドル ⑥Mark Zuckerberg(米国)446億ドル ⑦Larry Ellison(米国)436億ドル ⑧Michael Bloomberg(米国)400億ドル ⑨Charles Koch(米国)396億ドル ⑨David Koch(米国)396億ドル
となっています。ほとんどがアメリカ人ですが、2位のスペインのOrtega氏はアパレルブランドZARAのオーナーであり、メキシコのHelu氏は南アメリカ最大の携帯電話会社の社長です。
2016年度、世界のビリオネアは合計で1,810人で、内女性は190人と10%強となっており、どのように財をなしたかという内訳ですが、Self-Made(自分で財を成した)1,186人(65.5%)、Inherited & Growing(親から相続をして成長させた)396人(21.9%)、Inherited(親からの相続)228人(12.6%)となっていて、約3分の2は創業者でオーナー経営者だということになります。
国別に見ると、
①アメリカ540人(人口:322百万人、GDP:18兆9千億ドル) ②中国251人(14億人、10兆9千億ドル) ③ドイツ140人(81百万人、3兆4千億ドル) ④インド84人(13億人、2兆1千億ドル) ⑤ロシア77人(144百万人、1兆2500億ドル) ⑥香港64人(7百万人、3091億ドル) ⑦イギリス50人(65百万人、2兆9千億ドル) ⑧イタリア43人(61百万人、1兆8千億ドル) ⑨フランス39人(64百万人、2兆4千億ドル) ⑩カナダ33人(36百万人、1兆6千億ドル) ⑪スイス32人(8百万人、6685億ドル) ⑫韓国31人(51百万人、1兆4千億ドル) ⑬ブラジル31人(204百万人、1兆8千億ドル) ⑭トルコ30人(78百万人、7164億ドル) ⑮日本27人(127百万人、4兆1千億ドル)の順となっています。
この順位をみるとアメリカ人が圧倒的ですが、ビリオネアの数は国の人口や経済規模と直接関係しておらず、日本の規模であればもう少しビリオネアがいてもよいのではと思います。人口やGDPから考えると100名近くいるべきですが、つまり日本という国は、先進国で格差が一番ない国だということがわかります。これは世界で群を抜いて高い個人所得税と相続税がなせる業なのかもしれません。ちなみに日本のビリオネアの27人は以下の通りです。内訳は、Self-Madeが78%、Inherited & Growing が15%、Inheritedが7%となっています。
①柳井正146億ドル(57位、ユニクロ) ②孫正義117億ドル(82位、ソフトバンク) ③滝崎武光72億ドル(163位、キーエンス) ④三木谷浩56億ドル(228位、楽天) ⑤森章49億ドル(286位、森トラスト) ⑥韓昌祐40億ドル(380位、マルハン) ⑦伊藤雅俊36億ドル(435位、イトーヨーカドー) ⑧三木正浩35億ドル(453位、ABCマート) ⑨高原慶一郎35億ドル(435位、ユニ・チャーム) ⑩毒島邦雄29億ドル(595位、三共) ⑪森佳子25億ドル(688位、森トラスト) ⑫永守重信22億ドル(810位、日本電産) ⑬似鳥昭雄20億ドル(906位、ニトリ) ⑭重田康光20億ドル(906位、光通信) ⑮前澤友作16億ドル(1121位、スタートトゥデイ) ⑮多田勝美16億ドル(1121位 大東建託)
産業別では、ユニクロの柳井社長が圧倒的ですが、IT関係では孫社長のソフトバンク、2015年3月に自動車配送アプリ会社Uber社の競合会社Lyft社に300百万ドルほど投資をした三木谷社長の楽天、ZOZOTOWNの前澤社長、そしてソーシャルネットワーク、オンラインゲーム系が多く、また、日本特有なものとして、パチンコのマルハンや三共もかなりの割合を占めています。
アメリカ大統領候補のドナルド・トランプは、フォーブス番付では45億ドル(4,500億円)で324位となっており、同じ不動産ビリオネアーの森章氏より順位は低いということになりました。アメリカの内訳をみるとSelf-Madeが68%、Inherited & Growingが15% 、Inheritedが18%なので、まだまだアメリカンドリームがある言っていいのではないでしょうか。
最近、大統領選も含め様々な問題を抱えるアメリカですが、資本主義、民主主義を標榜し、富裕層に手厚いアメリカでビリオネアが誕生するのも、ごく自然な成り行きと言えるかもしれません。日本の大きなネックは個人に対する課税の高さと、成功者やお金持ちに対するねたみが外国に比べことさら際立っていることかもしれません。そのため、お金持ちから高い税金を取るのが当たり前だとする日本と、お金持ちを優遇しないと投資や雇用が増えないと思うアメリカの国民性の違いの結果だということがわかります。しかし、上記に掲げた日本人資産家の海外脱出はかなりの勢いで増加しているようです。
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