今年年初来2ヵ月だけでイーオン、CoCo塾、NOVA、ECC、レアジョブなど大手スクールは合計約50億円でテレビCMを流した
ギャンブル性の高いテレビCMは、大手スクールが借金漬けの過剰投資を持続できなければ破綻する
全国の語学教育サービス市場は、2016年1月までの惨憺たる下落とは対照的に少し上昇基調を取り戻したかのように見えます。しかし、この回復を先導したイーオン、CoCo塾、NOVA、ECC、レアジョブなどのテレビCM広告がいかに投機性の高いビジネスに巨額の資金を注ぎこんでいるか、ご存じでしょうか。
もし英会話スクール市場、あるいはもっと広く教育業界全体の展望が明るいものなら、ベネッセや学研、ヤマハ英語教室、公文式、小学館などといった教育業界最大手各社がもっとテレビCM放映の先頭に立ちそうなものです。
イーオン、NOVAのような教育業界の中堅から中小各社ばかりが活発に増資をしているという事実が示すのは「業界全体の展望は非常に暗いので、現在のような低金利環境でもこれらの企業によるテレビCM放映はかなりのスポンサー料を提示しないと引き受け手がいない。それならば差し迫った資金需要を満たすためにテレビCMに踏み切ろう」という業界事情なのです。
しかし、現在大手各スクールの新規生徒数が小康状態にある理由は一つしかありません。大手スクール各社が、過剰投資のとがめが出て低迷している現在の生徒数を回復させるために、非業各社への銀行融資をさらに拡大するという絶望的な賭けに出ているという事実です。
その窮状は、「テレビCMにより稼働させることによって日本人スタッフや外国人講師の給与などの固定費をわずかでも上回る売上が出れば、固定資産の回収を速められる」という理由で、広告宣伝費を増やしながら、採算割れレッスン料金でレッスンチケットの販売を増やしていることでもわかります。
大手各スクールが、これ以上出血レッスン価格でも新規生徒数を確保できなくなったら、当然そのスクールは100校あるうちの50校さえ維持できないほどの閉鎖をしなければならないでしょう。
その日が来るまでに経済が回復して、大手各スクールが赤字を出さずに既存の受講者にレッスンを提供できるようになる展望は、ゼロに近いのです。むしろ、大手各スクールが出血大サービスのレッスンを続ければつづけるほどレッスン価格の値崩れが続き、回復の展望は遠のくでしょう。
英会話スクールのような語学教育サービス市場はかなりリスクが高いので、2008年のサブプライムローン・バブルの頂点でも、その直後の金融危機でも新規の入学者は例年より少なかったのです。大手各スクールのテレビCMは、そういう危ないビジネスモデル、危ない英会話レッスンに全面的に依存した下落基調の中の上げ波動だということを忘れないようにしたいものです。
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