さて、こんな言葉を堂々と語る自称経済学専門家を、私たちは無視するべきです。なぜなら、その方は物事の本質を全く知らないからです。
「日本はデフォルト(国家債務不履行)に決してならない。日本は対外債権があり、技術力のある国でそんなことが起きるわけがない」と。
国家が崩壊する要因とは、日本の場合、通貨発行権である日本円が失われることだけです。そしてこれがなぜ失われるのかといえば、私たちの通貨日本円に対する信頼が失われることによるのです。そうした信頼喪失の原因は、中長期的にいうと窮乏生活が長くなる結果、カネではなく、モノしかないという風潮が広まるようになることです。事実、2016年2月頃から期待インフレ率は全ての商品(モノ)について上がり始めています。
これだけでは辛抱強い私たち日本人自身が国家崩壊へとすぐに動くとは言いにくいのですが、通貨発行権が失われていることが誰の目にも明らかになるのは、日本政府が発行する日本国債を巡り、諸外国が極端に厳しい評価をし始めた瞬間です。
今や、日本国債の日々の取引と言う意味で、彼らの占める割合は8割以上になります。彼らが束になってかかればいかなる大国の国債でも紙くずにすることは可能でしょう。1992年9月16日に起きた「イギリス・ポンド危機」を振り返れば、このことはすぐに理解することができるでしょう。イングランド銀行を相手にポンドを売り浴びせたことで伝説の投資家の名声を得たのが、世界的な投資家ジョージ・ソロスでした。
それでもまだ、「いや、それでも日本デフォルトなど絶対に起きない」と言う方がいます。
「望んでいることしか世の中では起きない」とかたくなに信じる思考のことを英語でwishful thinkingといいます。日本語でいうならば「希望的観測」とも訳せるでしょう。確かに、誰もが自国のデフォルト(国家債務不履行)が望ましいなどと考えているはずがありません。その意味において、日本が本当にデフォルトになる可能性は低いように思えて仕方がないことも理解できます。
しかし、日本が通貨発行権を失うというのは、日本円に対する信頼を私たち日本人が失うという事態であるのと同時に、そうなるように仕向けて日本円や日本国債を売り込む暴挙に出る外国勢でもいるのです。そしてその筆頭格である欧米諸国こそ、私たち日本人からすると想像を絶するような全く新しいグローバル社会の再編を画策しているという情報を耳にしました。
時間の都合上、その詳細については別の機会に語ることにしますが、いずれにせよ日本という存在そのものが邪魔であるなら、欧米の統治エリートたちは日本を崩落させるはずなのです。そのために通貨発行権を失わせることなど、彼らにとっては朝飯前です。なぜなら、そもそも国際金融経済秩序とは、欧米の統治エリートたちが創り上げてきたものだからです。
昨年の11月8日、数時間で紙屑になったインドの旧1000ルピーと旧500ルピーが今や読書の時に使うしおりにしかならないように、デフォルトになった後の日本円は国家崩壊が進む中、燃料難を耐えしのぐためにお札を燃すことくらいでしかもはや使うことができなくなります。
全てはその意味で通貨発行権から始まるというのに、数年前から始めた「異次元緩和」「マイナス金利」で史上空前の量の日本円を日本銀行がばら撒かざるを得なくなっていることは一体どういう意味を持つのでしょうか?私たち日本人全体の民族としてのセンスが今、問われているように思います。
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