前共和党大統領候補のミット・ロムニー氏は、トランプ氏のビジネスマンとしての実績は彼が自慢しているほどのものではない、強い言葉で彼は詐欺師とも言っています。
確かに、ロムニー氏もトランプ氏も両親は富裕層です。ロムニー氏の父親はクライスラー社長を務め、ミシガン州の知事も務めました。その後、連邦政府長官まで務めています。ただロムニー氏が親の手助けを受けたのは、最初の家を購入する頭金として4万2000ドルを借りた時だけだと言っています。
一方、トランプ氏は彼の父親であるフレッド・トランプ氏は東海岸で不動産デベロッパーとして成功を収め、ワシントンポスト誌によればトランプ氏に対し数百万ドル単位で手助けをしています。
例えば、1978年のグランドハイアットホテル開発に際しては、当時のマニュファクチャーハノーバー銀行から借りた7000万ドルに対し保証をしており、別のホテル建設に際しては3500万ドルの無担保貸出枠を、チェースマンハッタン銀行からトランプ氏のためにフレッド・トランプ氏は設定しています。また、トランプ氏が所有する破綻寸前のカジノを担保に350万ドルを父親から借りたとあり、これは後日当局から違法なローンだと認定されています。
1976年のNYタイムズ誌によればトランプ氏の純資産は2億ドルと推定されていました。これを単純にS&P 500 Indexのファンドで運用したとすると現在120億ドル(1兆3000億円)になります。これはトランプ氏自らが言う100億ドルを遥かに上回っています。トランプ氏の純資産は23億ドル(2400億円)と推定しているので実績としては平均の投資家をかなり下回ると考えられます。
それでは、一般的な不動産投資家と比較した場合はどうでしょう。REITのインデックスファンドに投資してみたとすると、1976年以来、毎年平均14.4%のリターンがあります。2億ドルを投資したとすると2015年末で230億ドル(2兆5000億円)となる計算です。同じ不動産業界のトランプ氏が、いかにアンダパフォーマーかがわかるというものです。
また、トランプ氏は借金をして投資することでも有名です。2000年以降トランプ氏のビジネスは69%の借金をしています。これは通常の不動産投資家が平均36%の借金をしているのと比較しても高い数字です。また、通常多くの借金をして投資がうまくいけばリターンも高くなるが、トランプ氏の場合はそうでもないようです。
トランプ氏はよく演説の中で、過去の破産はライバルを凌ぐために法律や裁判所をうまく利用するスキルがあることを示すものだと言っています。投資の失敗に対し、もしトランプ氏が責任を負わなかったとすれば、誰にそのツケがまわるのでしょうか。それはトランプ氏のパートナーであり、銀行であり、国のお金を利用していればそれは国民ということになります。
彼の自家用飛行機や彼の名前のついたビルを見ていると、彼の成功はすごいものだ、ビジネスマンとして大成功していると見えるかもしれませんが、少し数字を掘り下げてみると実はそれほどではないということがわかります。
フォーブス誌のデータから推定したところでは、トランプ氏の純資産は1988年から今日までに10億ドルから40億ドル(4400億円)に増加したと伝えています。数字だけみれば凄い数字ですが、ウオーレン・バフェット氏やビル・ゲイツ氏に比較すると何ということはありません。バフェット氏の純資産は1988年の25億ドルから今日680億ドル(7兆5000億円)、ゲイツ氏の純資産は10億ドルから800億ドル(8兆8000億円〉まで増えています。
他の政治家と違い、ビジネスで成功をしたトランプ氏であれば今の政治をよくしてくれると思い込んでいます。特にブルーカラー層による支持が大きいですが、本当に彼はビジネスで成功しているのかよく見極める必要があるでしょう。
Make America Great Again という言葉は聞こえはいいですが、現在のアメリカではとても難しいことです。このロゴの入った赤い帽子が全米で流行っています。トランプ氏のキャンペーンに使われているので今度、テレビでよく見ておいて欲しいと思います。
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