アメリカの債務上限の施行に関しての延長期間が 3月15日に終わり、3月16日からアメリカの債務残高は法定限度額に達しました。
アメリカ大統領選挙以来、株式市場をユーフォリア(市場の熱狂的陶酔感)が支配してきたましたが、しかし、投資家たちは、議会が債務上限を引き上げることができなくなることによるアメリカ政府のデフォルト(国家債務不履行)のリスクを見落としているようにも見えます。
つまり、アメリカのデフォルトの可能性は、多くの人々が考えているよりも大きいもののように思います。特に、金融市場は2つの重要な数字を無視しているように見えますが、この2つの数字は、共に世界市場に深刻な影響を及ぼす可能性があります。その数とは、218 と189 億ドル(約 2兆 2000億円)です。
218という数字は、下院での得票数ですが、法律では 3月16日に復活する債務限度額を引き上げる、あるいは一時停止するためには、アメリカ合衆国の下院で 218票が必要となっていました。財務省の現金残高は、この債務限度額の引き上げか一時停止が成立するまで、あるいはアメリカが債務不履行に陥るまで続く必要があります。
今月のアメリカ財務省の現金残高は 1890億ドル(約 22兆円)で、財務省は 1日平均 20億ドル( 2300億円)を取り崩しながら運営していることになります。既存の債務の償還は、月に 1000億ドル( 11兆円5000億円)実行されています。
アメリカ財務省のスティーブン・ムニューチン財務長官は、最終期限が来ることを認めており、3月上旬に議会に対して、限度を直ちに上げることを提言しました。しかし、債務上限を上げるか一時中断することに賛成する数が下院で 218票に達したかどうかは報道されていません。トランプ大統領は、ほぼ確実に債務上限をを上げようとしていますが、大統領に投票権はありません。
2016年の選挙で共和党が議会で 237議席を支配していましたが、その共和党のティー・パーティー勢力(共和党の最も保守的な勢力)は、過去に債務上限の引き上げを続けることを断固として拒否してきた歴史があります。共和党は、医療保険制度改革(オバマ・ケア)を撤廃しなかったことで、すでに共和党内のティー・パーティー勢力の反乱に直面しているようです。
この抵抗勢力のメンバーたちは、前回の債務限度額をめぐる対決の中で、その地位を立てようとし続けた非常に右寄りの「フリーダム・コーカス」という派閥を構成しています。フリーダム・コーカスには 29人のメンバーがいます。彼らが全員、債務上限の引き上げに反対するとなれば、債務上限の引き上げのための下院の得票数は 208票にしか届かないのです。
財務省が他の債務よりも利息の支払を優先させるべき地点に達することを望んでいる人は誰もいないのですが、そこが市場の信頼が後退することになりそうです。債券市場はすでにこの可能性に反応しており、アメリカの株式市場が涙を流しているにも関わらず、利回りが高まり価格は下がり、潜在的な混乱の懸念が殆どないことを示しています。
理想的な世界では、債務上限を再度設定するような政治はできません。それは明らかに私たちが生きる世界ではないからです。アメリカの党派内の分裂は、今やデフォルトが実現するかもしれないほど広がっているかもしれません。しかし、今回は、違う状況を見ることになるかもしれません。
トランプ大統領は各方面から攻撃を受けています。民主党やメディア、そして彼自身の党の共和党メンバーさえ彼が失敗するのを見たいのです。しかし、おそらくそれより重要なことは、ディープステートと呼ばれる影の支配者がトランプ大統領を引きずり下ろそうと待ち構えていることです。
これらの影の組織は、グローバル経済から主権国家の政治情勢まですべてを裏で操っていました。3月15日が負債上限に達し、そして2017年5月31日が本当の日付です。これがディープステート(アメリカの影の政府)が引き金を最後に引くかもしれません。
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