「最近、何かにつけて日本の存在感が下がっている」とお嘆きの方も多いのではないでしょうか。そういう方たちに朗報です。マイナス金利国債の残高となると、日本では米ドル換算で5兆1710億ドル(約560兆円)という巨額に達しており、これは世界のマイナス金利国債総残高7兆4260億ドル(約810兆円)の69.6%に達しているようです。
現在市場に出回っている日本国債のうちで償還年限が10年以内のものはすべてマイナス金利ですが、これが総残高の半分強となっているのです。日銀が日本国債のうち約3割を保有していますが、これまでのところ大部分は償還年限の短いものなので、マイナス金利国債の総残高に占める日銀保有分は3割より多く、5割ぐらいに達しているかもしれません。
日銀の保有分については、国債金利がマイナスであることは、ほとんど問題とはならないでしょう。日銀は金利を稼ぎたくて国債を保有しているのではなく、民間金融業者に現金を補給するために国債を買い取っているわけですし、プラスの金利が取れていたころもその「収益」は財務省に上納していたからです。マイナス金利になったからといって、逆に財務省から目減り分を補てんしてくれませんが、とくに痛痒を感じることもないはずです。
償還期限が来たときにも、国庫に償還のための財源は当然ないでしょう。しかし、また借り換え債を発行させてそれを買い取ってやれば、理論上は無限に保有しつづけても、とくに誰が困るわけでもないということになります。
しかし、民間の金融機関、保険会社、年金基金などのファンド運用業者、そして国債投資をしている一般企業は、いったいどういうつもりでマイナス金利の国債を保有しつづけているのでしょうか。少なくとも金利がプラス領域まで上がってくれなければ、いつまで持っていても金利収入を稼げるどころか、金利を支払わされる分だけ元本が目減りしていくだけです。かといって、金利が上がれば、それは現在保有している国債の元本価値がただちに下落することですから、それも歓迎できません。みんながそう思って手仕舞い売りに走ったら、捨て値大処分の投げ売り競争になってしまうことを心配して、だれも売り急がないようにと相互監視をしているのでしょうか。
それとも、自分たちだってこんなに使えない金融商品を買ってしまったのだから、世の中にはもっとバカな金融市場の参加者もいると信じて、そういうバカな買い手がもっと大幅なマイナス金利、すなわち国債価格としてはもっと高値で買い取ってくれるのを待っているのでしょうか。どう考えても、日本の存在感の大きさを喜べる状態ではなさそうです。
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