日本と違い、ヨーロッパやアメリカの人々は昔から未来予測に熱中しています。事実、経済・金融のトレンドを分析して世界経済のこれからの動きを知らせる未来予報官なるビジネスが盛況です。
これが、もう少し先の未来予測となると、世界支配層の人々は文才のある人間を発掘して経済的支援を行い、ときとしてSF仕立てのストーリーにして未来世界を描かせてきたのです。中でも、オーソン・ウェルズが描いた1984は、ビッグブラザーの代名詞として世界中に知られているように、私たちが否が応にも受け入れざるを得ないような暗黒の超監視社会を暗示したSF小説として、もっとも多くの人々に読まれています。
その他、フィリップ・ロスチャイルドの寵愛を受けた女性哲学者にして小説家、アイン・ランドの『Atlas Shrugged(肩をすくめるアトラス)』は、まさしく世界統一政府樹立までの出来事を知的冒険小説風に描いた予言の書といえるでしょう。
その難解さから、世界の奇書の一つとして数えられており、一般の善良な人々には理解不能な小説ですが、日本では、知的好奇心旺盛なごく一握りのインテリ層にだけ受け入れられています。
同書は、1957年に初版が出て以来、重版に次ぐ重版で現在でも年間10万部以上も売れている超ロングセラーです。『肩をすくめるアトラス』は、聖書の次に影響力のある小説としてアメリカ人に大きな影響力を持っており、映画化までされています。
しかし、それほど人気のある作品であるにもかかわらず、映画『アトラス・シュラッグド』のほうは大失敗でした。この映画は全部で三部作になっていますが、すべての興行成績はさんざんで、数十億円の赤字を出しています。
映画『アトラス・シュラッグド パート1』が2011年4月15日に限定公開で封切られた直後、「娯楽性が欠如」、「まとまりがない」、「作り手の自己満足」などの批判が集中しました。この映画のプロデューサーは、「辛口の評価は政治的な理由によるものだと反論」。映画製作に巨額の資金を投じた人々は、この映画の失敗にもまったく動じる様子がありません。
それもそのはず、この映画には、商業目的以外に別の目的があるからです。それは、グローバル・エリートによる完全なる世界支配までのプロセスを、彼らと考えを同じくするグローバルな富豪たちに前もって知らせることを目的とした映画だからです。
リバタリアンたちは、相互に関係するウェブサイトやブログのいくつかで、オープンコードと特殊な言い回しで、どこで会合を開くか取り決め、プライベートに密かに会っているのでしょう。暗号を使ってコミュニケーションを図っているのです。
彼らは、それぞれの反啓蒙主義の認識論や形而上学の問題に関するイデオロギーという点では、ほんのわずかの違いはあるものの、それ以外ではすべてがリバタリアニズムの世論形成の同じ仲間です。
アイン・ランドを信奉するリバタリアンたちは、アイン・ランド研究所、そしてアトラス・ソサイエティーの中に本部を置きながら、フーバー研究所、オーバーン大学、ジョージメーソン大学などのような強力な組織の背後で活動している知的エンジンなのです。
国家主権が、そのときすでに多国籍企業に奪われており、政府が資本によって動かされていることを暗示しています。それは、TPPに見るように、多国籍企業の政府乗っ取りが完了して、コーポーレートクラシーが実現していることを示しています。
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