ウーバーの企業文化に法人顧客がそっぽ-倫理面を懸念
不祥事相次ぐ米ウーバー、カラニックCEOが休職へ-職務も縮小
アメリカのタクシー配送サービス最大手ウーバーのトラビス・カラニックCEOが休職と報道がありました。世界的にもてはやされているウーバーですが、ビジネス・モデルには根本的な欠陥がいくつかありました。
そもそもウーバーのサービスが何も新たな付加価値を生むものではないということです。これまでインフレ一辺倒であった金融・経済政策の中、欧米諸国では過剰供給が一般的となってきました。そうした中で今度は北半球を中心に徐々にデフレ一辺倒になっています。そのため、需要は明らかに減っており、需給ギャップが顕著になっています。ウーバーのビジネスモデルは単にデジタル化によって繋いだだけだったことが証明されています。
このようなビジネスモデルは、今まで出会うことのない供給者と需要者をデジタル化によって繋げることを効率よく行っているだけのことでした。民泊仲介大手のAirbnbなども同じビジネスモデルです。何も付加価値は生んでいませんでした。
このビジネスモデルは参入障壁が低いので次々に同じようなサービス(会社)がインターネット上に生まれています。結果、陳腐化が起こり、最後には無料で提供せざるを得なくなるわけです。経営者としては大変な時代になっています。
グローバル市場で拡大を見込んでいたウーバーは、中国市場への参入がうまく出来ず、ついに敗北宣言を出してしまいました。カラニックCEOはその意味で犠牲者といえるかもしれません。なぜなら、運送業界はどの国でも雇用の調整をするからです。運送業界への参入は国策として許されない利権があり、ウーバーが抱えるもう一つの根本的な問題点があります。雇用の調整という根本的な利権を国が手放すわけがありません。
世界中で自動運転車が注目され、もてはやされているのは単なる技術革新だと思われているからです。あたかも技術革新を賞賛しているように見えますが、私たち一般人の移動の自由が実は奪われるという世の中が20年後に迫っていることを意味しています。
Wikileaksが明らかにしたVault7と呼ばれるCIAによるハッキング・プログラムによれば、明らかに自動運転車を搭乗者の意思とは無関係に転覆させ、搭乗者を殺害することが目論まれていることがわかります。自動運転車はその意味で殺人兵器になるわけです。そうした不可解な事故が続けば自動運転車には乗らなくなります。私たちは移動の自由を奪われ、地元ローカルでのみ生きる存在になりかねません。
一方、日本のEC事業最大手である楽天も、アマゾンの急成長によって転機を迎えつつあります。
楽天がAmazonに勝てない理由は「物流哲学の差」にあった
そもそもEC事業は、陸運宅配会社が機能しているのを前提に成り立っているビジネスモデルです。その見方では、私にはアマゾンも楽天も同じように見えます。今回のアマゾンとヤマト運輸の値上げ交渉問題は、荷主側は「いっぱい出すから安くしてほしい」、一方、宅配会社は「いっぱい運ぶから安くします」という運送の概念を暗黙裏に踏襲していたことです。
ヤマト運輸の宅急便は宅配に付加価値を付け、それなりの単価を頂くことを売りにしてきたはずですが、あまりにも巨大な物量を目の前にすると、「売り上げが欲しい」という誘惑には勝てなかったと考えざるを得ません。1カ所に1個が100個になれば安くしても良いけれど、100カ所に100個配る手間は、平均単価250円でも定価でも変わらないというわけです。
つまり、宅配に対する最低限単価意識の欠如の付けまわしが今回のヤマト運輸騒動であり、一朝一夕には出来ない全国物量体制なら、アマゾンが勝とうが、楽天が負けようが、総量が変わらなければ、EC事業そのものがズブズブと沈んでいくような気がするのです。
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