世界のメガバンクのデリバティブ残高を見ると、これが爆発したらどうなるのか考えてしまいます。やがて来る現実ですが、不思議なことに誰もその規模やそれが暴発したらどうなるかを語ろうとはしません。
各国の政府や中央銀行に信頼を置きすぎているようですが、中でもドイツのGDP2兆7000億ユーロに対して、ドイツ銀行のデリバティブ残高は55兆6000億ユーロ。330兆円のGDPに対して6840兆円のデリバティブ残高があります。仮に1%の支払いがドイツ銀行に請求されたら68兆円の支払いになる規模です。
アメリカのメガバンクは20倍から50倍とこれも仰天する規模です。2008年にリーマン・ブラザーズが倒産した理由がデリバティブ残の大きさだったことから、そのリーマン・ブラザーズをはるか遠くに見るほど現在の欧米銀行のデリバティブ残は巨大です。
1月末、ドイツ銀行のCDSが急騰しました。発行する社債の保証料が急騰したドイツ銀行ですが、この動きが加速すればドイツ銀行は間違いなく破綻します。秋にはこのCDSの急上昇により、金融破綻が来るかもしれません。
しかし、よくもこれだけのデリバティブの想定元本を拡大できたものだと感心してしまいます。世界のGDPの合計が50兆ドルに対し、世界の株式市場・債券市場の時価総額は100兆ドル以上あります。ところがデリバティブの残高は1500兆ドルと極めて天文学的な数字が平気で並んでいるのです。プロならこの数字の意味は無視出来ないはずですが、リーマン・ショック級の金融危機はやはりこのデリバティブの残高でしょう。
世界の中央銀行は資産運用にデリバティブを用いました。シティ・グループの残高は53兆ドル、JPモルガンで51兆ドル、ゴールドマン・サックスの残高も51兆ドルと世界の3強はアメリカの銀行に集まっています。これにドイツ銀行の55兆ドルのデリバティブ残高があります。これは現実であり、公的に報告されている数字です。だから爆発すれば、凄い犠牲を生むことは見てとれるのです。
そんなこと起きないことが金融の前提で、資本主義市場始まって以来の異常事態でもあります。金利低下はマイナスになり、日銀の総資産は日本のGDPの80%になっている現実です。現実に隣り合う危機の大きさは2008年のリーマン・ショックをはるかに越えています。もし、もし再度リーマン・ショック級の大暴落が起きればすればどれほどの危機の大きさなのでしょうか。1500兆ドルの1%の支払いが15兆ドル、つまり1500兆円以上になるのです。
誰も語らないこの規模とアメリカの銀行の危うさは、金利上昇になれば、銀行の抱える損が加速するほど金利は低いところに来ています。つまり、これ以上金利低下できないレベルの金利水準で世界経済は運用されているということになります。
熊本地震のような災害とは異なり、世界に連鎖する金融取引の恐ろしさを知りたい人はぜひ金融の歴史を勉強してほしい。たとえば、1929年のウォール街大暴落、1989年の日本のバブル経済大暴落、そして2008年のリーマン・ショックを詳しく調べて見ると、2016年にも金融危機が史上最大級の破綻を生み出すことが見えています。
三菱自動車、東芝、シャープ、東京電力よりも無責任な大企業と政府・中央銀行ですが、世界で他国と戦争することから自国内で政治家との戦いが現実化する時代が来るかもしれません。
日本政府と日銀が日本人の年金で外国株を買い漁る今、株上昇と金利低下を卒業する時、これらの時限爆弾の暴発が来ます。金融制度の複雑さで隠した危機の本質はやがて姿を現します。そのタイミングも、CCC債(ジャンク債)の金利上昇がカギになるでしょう。
これはいつまで持つと思う? もう限界だと思うよ。
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