12年前に総務省が制作した短編映像「希望の党」の予見性が話題に
小池百合子都知事が代表を務める希望の党ですが、なんと12年前の2005年に総務省と明るい選挙推進協会が制作した「希望の党」を紹介する動画が発掘されて大きな話題となっています。12年も前に総務省が予見していたのが希望の党という政党だったことになります。
この動画は、ものすごい勢いで現在拡散しているのがこの動画です。作品は金子監督が自らのYouTubeチャンネルにアップしており、前後編で閲覧が可能になっています。何と主人公が対峙することになるのは希望の党という政党で、ポピュリズム、ファシズムの中で一気に軍国主義へと突入していくので投票しましょう、という内容です。
娯楽大作のハリウッド映画や日本のアニメや映画作品にはたまにこのような予見がはっきりと描かれることがあります。退屈な現実を映し出し、鬱屈を払拭するほどの豪快なストーリーや痛快な場面を求めていくと、物語は極端な展開していきます。今回の金子修二監督が作成した短編映像も、尖がった作品を作ろうという意図はなく、「考えることを放棄した民主主義の先にあるのは独裁政治であり、ディストピアだ」ということを端的に示して見せたに過ぎません。
この作品で採用された政党名「希望の党」も、ディストピアには相応しい皮肉な名前だと考えたのでしょう。
ここで問題にすべきは、12年前に作成されたこの作品をなぞっている小池百合子氏の意図は何か、ということでしょう。2017年2月には、小池氏本人が商標登録し、満を持して結党し名乗りを上げたのが「希望の党」です。表面的には急ごしらえされた政党のように見せかけていますが、その実、この用意周到さです。12年前に作られた映像作品の存在を知らなかったとは言えないでしょう。
10月22日に投票日を迎える今度の選挙で問われているのは、政治か非政治なのだと思います。今、欧州では極右政党という名の「ポピュリスト政党」が勢力を広げています。イタリア、オーストリア、スイス、デンマーク、ベルギー、オランダなどではポピュリズム政党は多数の議席を獲得し、移民・難民政策をはじめとする主要な政策分野に重要な影響を及ぼしている。
日本で分かり易く例を挙げるならば、安部自民はもちろんのこと、橋下氏が率いた「維新の会」が正しくポピュリスト政党であり、小池新党はそこに直列で連なる動きであることに注視すべきです。
ポピュリスト政党の特徴は排外主義と、場当たりで大衆受けする発言を繰り返すことです。政策らしい政策もなく、言ってしまえば喧嘩上手なのが最大の特徴であり、彼らの役割は大衆に深く物事を考える隙を与えることなく、世間を賑わし、話題を提供し続けることなのです。
こんな政治状況は、驚くべきことに世界規模で広がっている状況でもあります。世界中で、ポピュリストが台頭し、排外主義を喧伝し、民主主義が圧縮されつつあります。世界中で人々は隣人に対して無関心・不寛容になりつつあります。この意味では日本ではもう末期症状になっていると言ってもよいでしょう。
今度の選挙は日本に何をもたらすことになるのか。あるいは、何も変わらないことを証明するための一連の騒動として終わってしまうのか。この動画には未来の日本があります。単に有権者だから選挙に行こう、ではなく、私たち日本人の在り方が今、変革を余儀なくされていることを理解するべきです。
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