10月に入ってからの相場はビットコインの一人勝ちの状況が続いています。10月初旬に48万円台まで上昇したビットコインは10月13日についに60万円台に到達しました。しばらくの間このトレンドは継続する予測も出ています。
一方、その他の仮想通貨は大きく値を下げていて、上昇するビットコインと明暗を分けたような状況になっています。これはこれまでにはないパターンになっています。これまではビットコインが相場を主導し、他の仮想通貨はビットコインとほぼ同じ値動きをしています。
今回のようなビットコインだけが上昇し、他の仮想通貨は下落するというのは初めてのパターンです。こうした値動きになった理由は、8月1日にビットコインがハードフォークし、ビットコインとビットコイン・キャッシュに分岐したことと同じように「Segwit2X」と呼ばれるハードフォークが早ければ11月19日に迫っているからではないでしょうか。
8月1日に行われた前回のハードフォークでは、ビットコインの所有者には同量のビットコイン・キャッシュが分岐後に与えられました。ハードフォークでコインの所有枚数が単純に2倍になったわけですが、11月19日に予定されている「Segwit2X」でも、同じことが起こると期待されています。今回は新しくビットコイン・ゴールドという名称の仮想通貨が誕生する予定ですが、これも保有しているビットコインと同数のコインが保有者に与えられるのではないかと見られています。
これを多くのユーザーが期待し、他の仮想通貨を売ってビットコインの保有量を増やす動きが活発になっているわけです。これを分岐収益と読んでいますが、実際にハードフォークが実施される11月19日まではこのトレンドは続くのではないでしょうか。
さて、本題に入りますが、そもそもビットコインの高騰は、アメリカの中央銀行FRBや欧州の中央銀行ECB、イギリスの中央銀行、そして日本銀行が2008年に起きたリーマンショックによって完全に実体経済と貨幣供給量の繋がりを諦めてしまったことが背景にあると思います。
現在、IMF(国際通貨基金)基準ののSDR(特別引出権)を持つ基軸通貨の米ドルやユーロ、イギリスポンド、そして日本円とすべての中央銀行は、すでに実体経済との繋がりを諦めたと発表しています。日本が実体経済との繋がりを諦めたのは1997年ですが、アメリカの米ドルがヨーロッパでユーロドルマーケットができたことと金本位制度が崩壊したことでドル安が混合した結果だと経済学者たちの間では言われています。
つまり、ドル、ユーロ、ポンド、円は世界の外貨準備に使われる基軸通貨だと思われていますが、経済学的に実体経済と繋がっている国の通貨があれば、それと比べてドル安、ユーロ安、円安、ポンド安になっているはずです。そこに金(ゴールド)のような動きを見せるビットコインが出現したことで、対ビットコインで主要通貨が軒並み下落している状態にあるわけです。
ビットコインは貨幣の進化の中で成功していますが、今後、仮想通貨全体で考えるとどんどん進化することになると思います。そもそも仮想通貨と和訳することで誤解を与えているのかもしれませんが、サイバーマネーと呼ぶことで市場に対するイメージはもっと良くなるかもしれません。
ビットコインの問題点は、取引所による詐欺事件が起こってしまうように、セキュリティ-対策に対して責任者が不在だということと、支払いを承認する第三者が必要であり、プライバシーが保護されているということです。
ビットコイン開発者と噂される日本人風のサトシ・ナカモト氏が論文で述べているように、ビットコインは金(ゴールド)のように設計されていることが分かります。そして、コンピューターによるCPUの使用時間や電力代、そして第三者取引を監視している労働力が取引コストとして残り、これにはまだまだ改良の余地がありそうです。
その改良の余地とは、取引コストをもっと小さくできることなのですが、ビットコインよりも簡素化したシステムにして、記録コストを最小限にできる能力の高いサーバーを使うことで、サーバーが銀行の決済の役割を自動的にすることが可能となると思うのです。
そのように格安のトランザクションが可能なサーバーを使えば、サトシ・ナカモト氏が書いたことがより簡単になり、セキュリティーも強化でき、さらに貨幣を進化させることができるわけです。
また、プライバシーについてはプライバシーを保つとマネーロンダリングに使われるという問題があるので、すべて実名での取引記録を残すサイバーマネーが実用化されれば、まともな取引はそのシステムで行われる可能性が高いと思います。
結論としては、ついに本日70万円を超えたビットコインを始めとする仮想通貨は、まだまだ伸びると思いますが、まだまだ進化させる余地があるということが言えそうです。
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