韓国の文在寅大統領は、平昌オリンピック終了後、延期されていた今年の米韓軍事演習が行われる予定の4月下旬までの間に平壌を訪問することになりそうです。そこで南北は、ダブル凍結による解決策に合意する可能性が高いと考えられます。
韓国は、米韓軍事演習の凍結をアメリカに通告し、今年の軍事演習は全て中止され、アメリカ側では、韓国が行った外交は北朝鮮の核を廃棄させられないので、、北朝鮮核問題の解決策はアメリカが北朝鮮を先制攻撃するしかないという主張が強まるはずです。
アメリカの主要マスメディアでは、今にもアメリカが北朝鮮を攻撃しそうな記事を書いています。トランプ大統領と親しいキッシンジャー元国務長官が最近、米軍による北朝鮮への先制攻撃が十分あり得ると発言しているほどです。
韓国の文在寅大統領は、アメリカが北朝鮮を先制攻撃することに反対しています。昨年から韓国の許可なしにアメリカが北朝鮮を先制攻撃することは許されない、として繰り返し何度も述べています。
文在寅大統領の反対を受けアメリカでは、韓国の反対を無視して北朝鮮を先制攻撃する、という意見と、もはや韓国はアメリカの同盟国とはいえないので、朝鮮半島に関与することをやめてしまい、北朝鮮への先制攻撃をやらないだけでなく、在韓米軍も撤退するべき、という意見の両極が出てくるかもしれません。
トランプ大統領は、両方の間を行き来しつつ、最終的に後者がアメリカの戦略になる可能性もあるかもしれません。
南北がダブル凍結を決めることで北朝鮮核問題が解決し、中国とロシアも協力して国連での北朝鮮制裁が解除されていくとすれば、アメリカが拒否権を発動しても、それを迂回する形で制裁が実質的に解除されることになります。
アメリカは意図的に孤立していき、アメリカ抜きで、南北と中国・ロシアによって、朝鮮半島の今後の安定が実現し、北朝鮮を含む極東の経済開発が進められるという、ロシアのプーチン大統領が提案した通りの展開になるわけです。
一方、日本の安倍首相は今回トランプ大統領に頼まれ、北朝鮮に擦り寄っている韓国を日米が牽制するために平昌オリンピックの開会式に出席しました。日本政府はダブル凍結による解決など解決ではないと批判していることから、日本の主要マスメディアは南北対話について呆れたものの言い方をしています。
対米従属一辺倒を貫き、韓国と北朝鮮、さらに中国・ロシアの結束を敵視している恰好になっています。オリンピックで使う韓国・北朝鮮(コリア)も統一旗やヘルメットに巨大な独島や李舜臣の絵を描き入れたりして、日本への敵愾心を煽って南北結束の道具に使っています。
しかし、昨年からの安倍政権の基本姿勢は、韓国・北朝鮮、中国・ロシアを敵視しておらず、むしろ韓国・北朝鮮、中国・ロシアと和解協力していきたい動きを続けています。安倍首相は昨年から、できるだけ早く日中韓の外相会談を行い、特に中国の習近平主席の訪日まで実現したいと表明し続けています。
安倍首相は、近いうちにアメリカが日本や韓国を安保面で保証ができなくなりつつあり、在韓・在日米軍も出て行く方向であると知っているように思います。なぜなら、経済面ではアメリカ抜きのTPP11によってアメリカ覇権消失後の新時代の到来を象徴しているからです。
だからこそ何とか障害を乗り越え、中国や韓国、そしてロシアと良い関係を保ちたいと考えているわけです。安倍首相は、南北が和解したら自分も平壌を訪問したいと思っていることから、自分が首相でいる間にロシアとの和解・北方領土問題の解決もしたいと考えているわけです。
最近、日本は中国との防衛交流の再開を決め、台湾の震災に対する慰問でも中国の苦情を受け入れました。日本が示唆し始めた日本版一帯一路も、中国と張り合うのでなく協力しあうという方向に進んでいるように思います。
このように、日本国民の多くが気づかぬ間に、日本も方向転換をし始めつつあるようです。
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