現在の経済というのは、巨大なゼロ・サム・ゲームでしかありません。誰かが家や車をローン(借金)することで、その分お金が日銀によって発行されるということは、常にプラス(お金)とマイナス(借金)が同時に生まれ、全て相殺すればゼロ、つまり平等に分け合えばゼロにすることができます。
こうなると、誰かがプラス(お金)を得ようとすればマイナス(借金)を誰かに押し付ける奪い合いになるしかないわけです。そして、その配分でプラスしかないお金を分け与えようとすれば、うまく分け合えうことができなくなります。
マイナス(借金)では何も買えませんが、しかしマイナス(借金)の人も生きていかなければならなくなります。それを一時的にプラスを貸す(借金)するか、社会保障で渡すことになっているのが今の金融経済の仕組みです。
いずれにしても、そのお金の裏側には必ずマイナス(借金)になり、さらに不均衡が多くなればなるほど、そのマイナス(借金)が行き場を失うことになるわけです。結局、それはどこへ行くのでしょうか?
それは未来に行きます。今、生きている人は結局全員、「生きるためにプラス(お金)を先食い」せざるを得ないことから、「マイナス(借金)のツケはまだ生まれていない未来の子供たちに」回されることになるわけです。
日本の多くの会社では、これまで「今だけ、金だけ、自分だけ」をモットーにタイムカードの弱点を利用して勤務をさぼりながらも長い間、給料をもらい続けている「人間」がいます。また、有給という社会資源を権利以上に使い続ける「人間」は、お金を自分のためだけの時間に転換することでいわゆる泥棒を働いてきたように思います。
日本全体で多くの会社内でこのようなことが行われているわけですが、このような行為というのは、要するに自分だけのために「自分が会社を辞めた後に残る社員全員、あるいは新たに入社してくる予定のプラス(お金)を先食いしている」ということになります。このプラス(お金)とは私たち日本人全体の未来の公共財でもあるわけです。
そのような「人間」と同様に、その方法が日本政府(中央集権)・日銀(中央銀行)の借金の本質であり、今のお金の発行の仕組みの根本的な矛盾になっていることに今こそ気づくべきです。本来プラス(お金)とマイナス(借金)が同時に生まれる今の金融システムはプラス(お金)しかない私たちには大きな影響を及ぼしています。
ということで、総合的に考えていくと、私たちは誰のマイナス(借金)でもない、プラスのお金を発行する必要があるのは明らかです。
まずは、誰の借金でもないプラスのお金は政府紙幣として発行します。多くの人が心配しているように、現在の日本銀行券(円)と2種類の紙幣が世の中に出回るようなことはできません。ということで、発行の仕方は以下のようになります。
例えば、100兆円の政府紙幣を発行する場合、1兆円紙幣を100枚刷り、これを日銀に預けると日銀はそれを金庫に入れ日銀内の政府口座に100兆円と記載する、という方法です。
当然、法律の改正は必要ですが、後は通常通り、日本政府はそれを政府支出として扱い、通常通り振り込むだけです。しかも、それを受け取る公務員や公共事業の請負業者は、普段と何ら変わることなく今までと同じ紙幣でそれを引き出すことができます。
あえて1兆円紙幣を刷るというのは、それが日銀の金庫を出ることなく、その方が省スペースで偽造の心配もないからです。今後も日銀は国債を買い、同じようにお金を発行することになりますが、それはあくまでもマイナス(借金)であり、これは誰の借金でもない点が大きく違います。
問題の根源は借金で生まれるお金とそれが金利で膨れ続けることから、借金である限りは根本的な解決にはならないということです。このように、誰の借金でもない政府紙幣でお金を発行する必要があります。
|