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中国の資源不況は続き、デフレが慢性化する②

2015年1月を100とした中国人民元指数は、同年8月の105.5までほぼ順調に上昇していましたが、9月までのたった1ヵ月間で100近辺まで暴落し、その後若干盛り返し、基本的には今年7月初めの94をわずかに超える水準まで下げ続けました。中国経済が不振に陥ったのは、2015年夏以降のことだったように思えます。

 

これはすでに自国経済が不振に陥っていることは知っていた中国政府や人民銀行首脳陣が、世界中のほとんどの通貨に対して強含みで展開していた米ドルとのペッグを、2015年12月ごろになってようやくあきらめたこと、そして中国の実体経済のほうは、その約半年前の上海株式市場の急落のころから、事実上の米ドルとのペッグを放棄していたことの影響が大きいようです。

 

なぜ中国が米ドルとのペッグを守ることにこだわり続けていたのかというと、おそらく最大の理由は、日本の高度成長期とは違って中国経済の高成長は海外からの融資、とくに米ドル建て融資に依存する度合いが高かったことでしょう。人民元の対米ドルレートが下がると、米ドルでは同じ金額の借入金の元本返済負担が重くなります。だからこそ、中国政府・人民銀行としてはできるかぎり人民元の対米ドルレートが下がらないようにという政策を続けていたのでしょう。

 

中国資源浪費バブルの崩壊は、確実にアメリカをはじめとするG7諸国の物価水準を押し下げます。世界的に、ディスインフレ(インフレ率の低下)化、デフレ化のの潮流が顕在化しています。期待インフレ率というアメリカでよく用いられる期待インフレ率の指標が、米ドルの対人民元レートときれいに逆相関していることを示しています。

 

つまり、人民元が米ドルに対して安くなればなるほど、米国内の期待インフレ率は下がります。ただ、アメリカ国内の期待インフレ率に関するかぎり、現状では1年弱前に2.2%だった期待インフレ率が、直近では1.9%に下がったという程度のおだやかなディスインフレ傾向に過ぎません。

 

しかし、G7各国のコアインフレ率となると、11ヵ月前の中国の生産者物価指数と主要貿易相手国通貨に対する加重平均で算出した人民元のレートに対応して、かなり長期間マイナス領域(デフレそのもの)にとどまる傾向が顕著になっています。

 

中国における資源浪費バブルの崩壊は、世界一万年インフレを守る手法に熟達したアメリカ連邦政府と連邦準備制度が管理しているアメリカ経済でさえ、顕著なディスインフレ傾向を招いています。そして、そこまで巧妙な金融・財政政策を展開できていない日本やヨーロッパ諸国ではデフレを招きつつあるようです。

 

ここで皮肉なのは、なんとかペッグを守ろうとしてきた米ドルとの対比で見ると、人民元はペッグをはずしてからもそれほど大きく下落していないのに対して、初めからペッグの対象としていなかったユーロや日本円に対しては非常に大幅な下げを演じていることです。

 

中国の外貨準備総額は、資源価格が急落に転じた2014年6月に4兆ドル目前でピークアウトしました。しかし、外貨準備のマネーストックに対する比率ははるかに早く、2008年に29%で天井を打ち、2016年初頭には16%弱まで下がっていました。ここにも数えきれないほど存在する中国経済に関する皮肉な成り行きを見ることができます。

 

もちろん、一般論としていえば、まさかのときの用心に取っておく外貨がマネーストックの3割近くにもなるというのは、国民経済として異常です。しかし、中国の金融当局は2008~14年の6年間という長きにわたって、この異常さを解消するために、その後も増えつづける外貨準備の増加率を上回るペースでマネーストックを増やすというかたちでの正常化を試みました。

 

そもそも中国経済には、伝統的に資本産出係数(生産物を1単位生み出すために必要な資本の量)が高いという問題点がありました。そういう問題を持つ国民経済が国際金融危機に直面して、明らかに非常時の備えとしては多すぎる外貨準備を取り崩して有意義な方向に使うという正攻法でこの問題に取り組みませんでした。むしろ、金利低下や量的緩和によってマネーストックをどんどん増やして、投資を刺激して景気浮揚を図る道を選んだのです。

 

これはまったく解決にはならないでしょう。初めから高すぎる資本産出係数をさらに高め、ますます経済全体の効率性を下げる効果しかないからです。その意味では、中国にとって外貨準備が深刻な問題となったのは、外貨準備の縮小が顕在化した2014年夏からのことではなく、この肥大化した外貨準備の増加率を上回るペースでマネーストックが伸びつづけるようになった2008年のことです。

 

そして今、中国では質への逃避が国債への資金集中による国債金利の低下にとどまらなくなっています。国債金利の低さを嫌う投資家の間で、外貨建て資産を求める人民元売り・外貨買いが強まって、さらに人民元が下がるという構造が定着しつつあるようです。

 

1年前には中国10年国債の金利は3.6%を超えていて、1人民元には16セント強の価値がありました。現在、国債金利は2.8%まで下がり、1人民元はかろうじて15セントを上回るというところまで下げています。どちらも、単独で考えればそれほど大きな変化とは思えないですが、米ドルの新興国・資源国通貨に対する万年安が続くという前提のもとに、借りた米ドルで資金を膨らませて中国の金融資産を買った投資家にとっては大問題です。

 

今のところ、国債金利が下がっているということは、国債価格は上がっているわけだから、人民元ベースでは利益が出ているはずです。しかし、国債を売却するときに米ドルの借金も返すとなると、ネットで利益が出るとは限りません。さらに、中国の国債金利のほうには下げ止まりの気配が見られるのに対し、人民元の対米ドルレートは今後もいっそうの下落が続きそうです。米ドルキャリーで中国の金融資産を買っていた投資家は、いっせいに利益確定・損失限定の売却に走り、それがさらに米ドル高、人民元安を呼んでいます。

 

中国の金融業界には深刻な危機が迫っています。もともと、中国の銀行業界が自主的に公表している数値にどの程度の信憑性があるものかという疑問はついて回ります。一応こうしたデータを額面どおりに受け取ったとしても、事態はそうとう悪化しています。

 

2012年第1四半期には債権総額の0.95%未満だった不良債権額は、2013年第4四半期以降急上昇し、直近では1.8%に迫っています。一方、2012年第4四半期には不良債権総額の3倍近い引き上げ額を積んであったのですが、直近では1.8倍程度に下がっています。つまり、ほんとうの不良債権が公表数値の2倍あったら、もう引当金ではカバーできなくなっているのです。

 

ゴールドマン・サックスによる世界中の機関投資家の資金をBRICS(Brazil、Russia、India、China、South Africa)という信じられないほど危険な国々に引きずりこむ作業が得意の絶頂に達し、同社のBRICSファンドの運用資産総額も最大となったのは2010年のことでした。その頃、世界全体の株価収益率に対して、世界中の銀行株の株価収益率は、1.3~1.4倍でした。しかし、中国全体の株価収益率に対して中国銀行業界の株価収益率は2.2倍か2.3倍に達していました。つまり、中国で銀行業界が稼ぎ出す利益は、ほかの業界での同額の利益の2.2~2.3倍の価値があったのです。

 

2015年10月、ゴールドマン・サックスが静かにBRICSファンドを解消したとき、運用資産総額はピーク比で88%減の12%になっていました。その2015年の半ばにいたっても、中国銀行業界の株価収益率は中国全産業の株価収益率の1.1~1.2倍を維持していました。

 

しかし、2015年後半から中国銀行業界の他産業に対するプレミアムはディスカウントに激変しました。2016年の年初から第2四半期末まででは、世界の銀行業界株は大幅に値下がりしたとはいえ、株価収益率としては他産業と同一というところまでしか下がっていません。ところが、中国銀行業界の株価収益率は他産業の0.6~0.7倍に下がってしまったのです。

 

中国の金融業界については、もうひとつ気がかりなことがあります。銀行業が、預金に対する金利は低く、融資の金利は高くという規制で守られてきたことから必然的に発生したシャドーバンクの経営が、このところ急激に悪化しているようなのです。

 

こうして見てくると、過去7年間にわたって中国株は世界中の金融業界にとって、ほぼ唯一の安定した飯のタネだったことがわかります。その飯のタネが、今まさに巨額の損失を計上しながら、多くの機関投資家を道連れに地球上から消え去ろうとしています。市況商品の万年不況、そしておそらくは50~100年間続くデフレの到来は避けられないでしょう。そして、資源価格が下がりつづける時代に、他国の資源を略奪しようとして戦争を仕掛けるほど愚鈍な国は、めったに存在しません。

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