今年1月に私がコラムにした「物価とインフレ」スーパーに並ぶ商品がどんどん小さくなっている」ですが、4月に入っても物価高、つまりインフレが続いていることがわかります。
これまで食品メーカーは、インフレ商品として缶詰やパッケージのサイズを小さくするなど気づかないように工夫をしてきましたが、この春からの値上げラッシュでいよいよ追い詰められていると思われます。
スメディアなどの報道では、2018年の春季労使交渉で賃金引き上げの明るい兆しが見え、消費拡大に期待が膨らんでいるようです。しかし、原料や物流コストなどの高騰がさらに進んでいます。価格に上乗せしにくい各食品メーカーでは、相変わらず価格を据え置いて内容量を減らす、という苦肉の策で対応していますが、消費者の間では買い控えが始まりつつあります。
転勤や引っ越し、入学準備など総務省統計局の調査によると毎年3月4月の家計の支出は平均より10%ほど増えるようです。しかし、給料も上がらず、裁量労働制による残業代カットなど将来の不安は尽きません。この春も値上げが続き、野菜の高騰も4月末まで続く予測が出ています。
例えば、アサヒビールの値上げは2008年以来10年ぶりで、前回の値上げビールの製造に不可欠な麦芽や缶材など原材料価格の高騰を受け、大手が家庭用、業務用とも値上げに踏み切りました。主に業務用に販売している瓶や樽が対象で、缶は含んでいません。大瓶の店頭価格では10%前後の値上げになる見込みで、競合他社の追随も予想されています。
ビールが原価割れに追い込まれる背景には、若者の酒離れによる消費量の減少に加え、報道では物流などのコスト負担の増加もあるようです。車両やドライバー不足による物流費の上昇は物価に影響を与えているというわけです。
また、すでに日本郵便は宅配便ゆうパックの個人向け運賃を、2018年3月1日から110~230円値上げしています。運ぶ負担が大きい重さが25キロ超30キロ以下の荷物向けには重量ゆうパックを新設し、通常の運賃に500円を加算しています。
さらに、ネスレ日本は2018年の事業戦略発表会を都内で開き、コーヒーの一部商品を4月1日よりレギュラーソリュブルコーヒーの価格を平均で約20%値上げしました。物流費の高騰が主な原因でネスレ日本の物流費推移は2015年を100とした場合、2017年は146と約1.5倍に増えています。
収入も上がらないのに値上げラッシュが起こり、昨年よりもさらに買い控えが起こっているということです。小売業者やスパー各社でもセールの連発で対応していますが、体力の限界も見えてきているように見受けられます。
大企業には空前の好景気を与えていますが、中小企業や庶民には値上げラッシュを与えられているというわけです。これ全てがアベノミクスの成果という見方が正しいということをまずは知るべきです。
いよいよ本格的なインフレ展開が見えてきましたが、ただ野菜の高騰はこのまま継続されるものと思われます。
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