今、機内でコラムを書いています。飛行機が落ちるとは思っていませんが今回は遺言について考えていきます。
最近、遺産の取得をめぐっての争いが多く、兄弟間で弁護士を立て、法廷にまで騒ぎが発展するのは年間1万件を超えています。そのために遺言を残しておくことが必要だと言われ始めています。
日本では死後10か月以内に相続税の申告・納付をしなければなりませんが、それまでに遺産分割協議書も整えなければならないのです。したがって、相続人同士でいつまでも揉めていると間に合いません。無申告加算税や延滞税など余分なお金がかかることになるからです。
遺言を残しておくとその心配がないといいますが、遺言そのものが遺留分を侵害していたり、無効だと訴えられると、裁判はゆうに10年を超えることになります。また、日本の法律では遺言できる事項は10項目に限定されており、それ以外の事項は法的拘束力を持ちません。
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事では、全米で大ヒットした海外ドラマの俳優が、心臓発作で51歳の若さで亡くなりました。彼の相続人は、前妻との間に14歳の息子がいて、最近結婚した妻との間に1歳の娘がいました。
遺言があって、娘にはイタリアにある家を、ニューヨークにあるマンションは息子に、残りの遺産については妻、娘と自分の姉妹に分配するとあり、さらに娘への20%の遺産は信託していて、受託者は妻、姉妹の1人、及び弁護士となっています。
しかし、この遺書は将来問題が起きる可能性が高いと専門家が指摘しています。それは、第一の問題は子供たちに差別的な遺産となっているからです。息子には高額な生命保険信託を作っていますが、娘にはありません。
アメリカでは、最初の結婚から生まれた子供たちは、再婚で生まれた子供たちを血筋が半分で一人前の兄弟と認めない傾向があり、しかも最初の結婚で生まれた子供たちは、両親の離婚による怒りが残っているといいます。
そこでアメリカの専門家は遺言を残す際、法律上何の効力もないですが、エンディングノートを残すように勧めています。それは死亡時におけるあなたの考え、夢、望み、希望を表現するようなものであることが望ましいとされていて、具体的には、子供が生まれた瞬間や子供の誕生日の感想、子供と旅行をしたときの思い出や、子供と過ごしたホリデーなどです。
自分がいなくなった後、どのような人生を送ってほしいか、などをよく考えて書き残し、少なくとも年1回は更新するのが良いとしています。そのようなことを書き残すことで、残された家族は遺産分割に対して、納得できる分割が非常に多くなるといいます。
日本も対岸の火事ではなく、エンディングノートが流行りつつあり、ますます死後の揉め事を事前に回避する風潮が高まり、安心して突然死ねなくなっています。ウォール・ストリート・ジャーナルではないですが、人生終わりまでその通りだと感じました。
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