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「日本人は他人がどう思うかを気にかける傾向があり、欧米人はそうではない」というステレオタイプなイメージが未だに独り歩きしているように感じます。
しかし、他人がどう思うかをまったく気にせずに「今だけ、カネだけ、自分だけ」と考えているなら、社会など成立するわけがありません。そうなれば、どこかしらで犯罪（見えないものも含め）が起き、革命が起き、ストライキが起き、テロが起きるはずです。
当然、外国人の多くは他者に気を遣います。ただそのスタイルが日本とは異なるだけの話です。日本基準の気遣いという尺度を外国人に押し付け、「外国人は個人主義だが日本人はそうではない」というのは、かなり曖昧な物言いです。そもそも外国人や欧米人という括り自体が曖昧そのものに感じてしまいます。
例えば、アメリカ人のステレオタイプなイメージとして、「ストレートにモノを言う性格」と言われています。ドイツ人であれば、「意見を主張する頑固で堅苦しい性格」と言われています。それが間違っているわけではありませんが、彼らは普通に気を遣ってくれています。
意見を主張する時、時と場合によっては私の意見を尊重しながら、自分の意見についても正直に話してくれることがほとんどです。それよりも今、増えつつあるのが、要求しかしないどころか、脅したり、恫喝しながら主張する一部の日本人であるということです。
当然、そのような人間の要求を呑めば呑むほど会社や社会は回っていかなくなります。なぜなら、一向に歩み寄りができないからです。譲る場所は譲り、主張も度合いと表現を考えることが必要です。全く考えない人間も多くいますが、日本にも間違って認識している個人主義者がいます。
例えば、日本人が自己主張しないのは世界的に有名なことからも、アメリカ人の友人は日本人に対して、言葉と表情で自己主張が苦手な日本人への気遣いをしてくれることも多々あります。お願いする時でさえ、気遣いを感じる表現を使うことがほとんどです。
そういうのことを知らず、「欧米人は気を遣わず率直に思ったことを言う」というのは、単に日本だけの基準で物事を測っているだけ過ぎないわけです。そもそも、なぜ欧米人が個人主義であるとされ、日本人は気遣いができる民族であるとされてるのでしょうか？
この勘違いの背景にあるのは、「自己主張をすることは自分中心的な行動であって、他人に合わせることが気遣いである」という価値観から来ているように思われます。なぜなら、日本だけで言えば、それが気遣いとして一般的に考えられているからです。
気遣いというのは、定義が様々であり、日本的な価値観だけが全てではないはずです。当然、日本の気遣いも間違っているわけではありません。しかし、国が違えば気遣いのスタイルも違ってくるのは当たり前のことです。
欧米人は日本人よりも自己主張をする傾向がありますが、だからといって他者の気持ちを考えないわけではなく、日本人のような遠回しの表現をしないわけでもありません。つまり、自己主張をする欧米人が他者に配慮しないというのではないということです。
特に、アメリカでは自己主張をすることでより他者を理解しようと努力する方が大多数であると感じることがあります。たまに、日本語に訳すと率直過ぎる言い方に聞こえるかもしれません。しかし、こういう表現方法がアメリカ人の日常的な気遣い担っているように思います。
気遣いというのは、概念そのものです。気遣いだけではなく、愛や平等などの概念も国によって様々なスタイルがあります。だからこそ、「日本はこういう概念がありますが、アメリカではこうです」というように比較することが必要です。これ以上、日本の尺度だけで決めることは何の意味も持たないことを理解するタイミングが来ているように考えられます。
逆に欧米人から、「日本人は自己主張ができず、自分の意見を持たない未熟な民族」などと言ったら腹が立たないでしょうか？
これは、男女間のジェンダーギャップにも同じことが言えそうです。男女平等に関して日本は遅れていると言われていますが、日本なりの男女の在り方があると思います。悪いところや時代に合わない部分は変えていく必要があるとは思いますが、欧米基準で遅れていると言われてもどうにもならないわけです。
そう考えると、最近になってようやく女性が運転することを認めたサウジアラビアなどはどうなるのでしょうか？
サウジアラビアの場合、イスラム教という宗教が価値観の大部分を占めており、男女平等の点で遅れているとは口が裂けても言えないはずです。だから、他国のことに言及する時に尺度を日本だけに限定してしまうと自然と歪みが生じてくるというわけです。外国について話すのなら、異なる尺度で測る必要があるということです。
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