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海外生活があるかどうかは、行ってみなければわからないものです。しかし、それが多くの日本人にとって落とし穴になっているというわけです。
私自身、7歳の時にある縁があって単身渡米することになり、小学校低学年から中学校までカリフォルニア州にある小中一貫のボーディングスクールで教育を受けた経験があります。行く前は誰も止めることはなく、そこから長い道のりがありました。
子どもの頃から「アメリカへ行ってみたい」という憧れがあったころから、家族の応援が追い風になり、関係者のおかげで返済不要の奨学金付きとなりました。その後、日本に帰国してからは帰国子女扱いで日本の高校に入学することになりました。
そして、1990年の卒業前に諸事情があって再びアメリカに戻るという突然降ってわいた話がでてきたことで、カリフォルニア大学バークレー校に入学することになりました。翌年1991年にはサンフランシスコ・ベイエリアでの生活が始まりました。
一人でアメリカに住むことで最初は戸惑うことはありましたが、やがてその困惑すら楽しくなり、在学中に会社を起業することになりました。ところが、積極的に動く私とは異なり、アメリカでダメになっていく日本人留学生も多くいました。
結局、現地生活に耐え切れなくなって一時帰国をしたり、思うような生活を送れずにホームシックにかかって帰国したり、勉強へのモチベーションを失って授業に出ずに放浪しているような学生崩れが増えたのが、1990年代前半に起きたバブル崩壊のこの時期であったわけです。
私は、すでに8年以上もアメリカで生活していた経験があったため、言葉の問題もなく、幸い海外生活に合う適性がありましたが、海外生活に合う適性というのは、実際にそこで生活してみなければわからないものだということです。
一言で海外といっても、欧米やオセアニア、アジア諸国など様々ですが、アメリカで求められる適性と中国で求められる適性は明らかに異なります。ただ、どの国でも日本の外に一歩出る以上は、一つ目に、言語的なハンディキャップをどうにかするサバイバル能力が必要です。
単純に水が合わないとか気候が合わないという要素もありますが、②自分の常識や価値観が一瞬で壊される戸惑いと不快感の許容、さらに、③日本にはあっても現地には無いということを諦める力という3つの要素が必要になります。
まずは言語的ハンディキャップをどのように克服するか、です。とにかく相手に伝わらないというもどかしい思いと自分の無力さに向き合わなければならないわけです。
この伝わらないという状態は、自分が思っている以上に辛いもので、「わかってもらえない」という孤独感を感じたり、「うまく言えない」と家に引きこもったりすることもあります。
さらに辛いのが、これまで疑ったことがない自分が信じていた常識や価値観が一瞬で壊されることです。そもそも自分が当然であると思っていたことを伝えても、現地では通じるわけがありません。このように、日常の至るところで自分がマイノリティー（少数派）であると自覚させられます。
自分自身が、現地で民族的、あるいは社会的マイノリティーである以上、相手に合わせるしか方法がなく、昔から「郷に入れば郷に従え」と言われるように、その土地やその環境に入ったなら、そこでの習慣ややり方に従うのが賢い生き方であるわけです。
最終的に、これを楽しめる方というのは、視野が広がることで自由になれるわけですが、楽しめない方というのは、自分の価値観を否定されたように感じるため、現地にいること自体に辛さを感じてしまうようになります。
そして、日本では何不自由なくある大事なことを諦める力も必要です。例えば、電車が時間通りこ来なかったり、美味しい日本食が食べれなかったり、停電することやネット環境が悪いということもあります。
単純に生活環境が変わるわけですから、当然のように現地には無いことがあります。それを諦められるかどうかにかかっています。一般的に、海外生活に馴染んでいる方というは、無いは無いなりに何とか割り切っているため、不便さなどの不満を抱えることなく何とかやりくりしています。
いずれにしても、この3つの要素は、海外生活に向いているかどうかを決める大きな要素だと思います。
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