数学は、史上最も成功した「人工言語」と呼ばれています。例えば、エスペラント語や手話などに比べて、数学の成功は圧倒的です。ほとんどの科学と科学技術の分野で、そして様々な職業と日常生活で数学は不可欠な共通言語となっています。
実は、日本人のほとんどがこの事実を理解しています。しかし、数学が苦手なので数学の価値を見ないようにしているわけです。このことは、英語でも同じようなことが起きています。高校までの英語は、まるで数学のように意図的に勉強方法を複雑にされています。
一方、「科学」とは物理学や化学、生物学などを総称した言い方です。英語のScienceは、西洋文明の学問に接した昔の日本人が訳しました。「科」は区分された意味ですが、様々な科目に分かれた「学」から「科学」と呼ばれています。
科学には、「認知科学」という「人間はどのような存在であるのか」の問いに答えるため、戦後から「情報」を手がかりにする研究が登場しました。心理学やコンピューターを使った電子工学や情報技術によって、分析することもできるようになりました。
また、生態学や社会学、人類学の伝統によって研究された分野まで網羅し、教育を刷新する学習科学まで生み出すなど、人類の探求心をさらに発達させました。ところが、わかったことは人間はそれほど賢くもなく、知的で理性的でもないということです。 |