2016年4月4日のニュース「生徒の英語力、文科省初公表」というものがありました。英検を使って調査した結果だそうです。この結果を見て、レベル分けの弊害であるとか、日本人の学力観、学習観という観点から論じているネット記事がありました。
しかし、英語教育ということを考えるならば、ここで一番問題にすべき点は、「日本の英語教育は一体何のためにやっているのか?」ではないでしょうか。そして、その目的が、「国際語としての英語をコミュニケーションツールとして使えるようになる」ことであるとするならば、 「英検というペーパーテストの結果で、本当に上記の力が測れるの?」 という素朴な疑問が出てきませんか?
英検には面接があると言われる方もあるかもしれませんが、前もって準備すれば合格できる内容ですから、ペーパーテストとなんら変わりありません。今の生徒は、コミュニケーションという良い悪いはひとまず横に置いて教育を受けています。
学校には少数とはいえ、世界各国から集まる英語話者の先生がいて、直に接する機会があります。そうした環境があることで、どんな国の人とでも気軽におしゃべりすることができる、そういう子どもたちは、以前に比べれば確実に増えています。
では、こういうコミュニケーションに対する、積極的な態度、そうしたものがテストで測れるのでしょうか?英検で「積極性」「自信」「寛容」「柔軟さ」といった、外国語を使う上で欠かせない要因が点数化できるとでもいうのでしょうか?
英検のようなペーパーテストで英語教育を検証しようとする、そこから見えてくるものは、日本の英語教育はこれだけグローバルだなんだと言っておきながら、「テストで点数がとれる英語力」をつけたいのか、「英語を国際語として使いコミュニケーションする力」を目指しているのか、相変わらず混沌としたままだということです。
そしてまたこういうテスト結果を見て、ゆとり教育の時のように、もっと文法をやらないとだめだ、といった後ろ向きの意見が幅を利かすようになるのではないか、とそんな心配をしてみました。 |