このブログを読む人には、本の題名を聞いたことがあるかもしれません。題名のAtlas Shrugged (アトラス・シュラッギド)、直訳すると「アトラスは肩をすくめた」ですが、弊社と同じ名称のアトラスとは、ギリシャ神話で、肩で世界を支えていると言われる神様です。その神様が、天を支えるのを放棄してどっかに行っちゃうたら世界はどうなるの?という意味です。
あらすじは、アメリカのビジネスエリートたちが、「我々は世界経済を推し進めるエンジンなのに、常に議会や政府の規制で邪魔をされている。たび重なる政府の妨害に、なぜ我々は頑張って世界経済を回しているのに悪者扱いされなきゃならないんだ?努力もなにもせず、福祉に依存する人達が、常に我々に依存してくる。」
そう言って呆れ果てたビジネスエリートたちが、肩をすくめてコロラド山中に消えていくという小説です。この小説は日本ではあまり有名ではないですが、アメリカではいまも年間15万部は売れているというロングセラーです。一般読者が選んだ20世紀の小説ベスト100第1位で、聖書についでアメリカ人が「人生でもっとも影響をうけた本」とも言われています。
もう少し内容をわかりやすく解説すると、「富を追い求めることのどこが悪いの?弱肉強食のどこが悪いの?すべて市場原理にまかせましょう。金持ちを縛るのをやめましょう。」と世界経済を牽引するビジネスエリート達を、福祉のためとか、税金とか規制などで縛ると経済が停滞してしまいますよ。そんなの良くないでしょう、ということです。
こういう思想を「ハーバード白熱教室」のマイケル・サンダル教授がテーマにしていた「リバタリアニズム」と言います。ちなみに、そういう思想を追い求める人達を「リバタリアン」と言います。
できるだけ経済や社会に対する国家や政府の介入を最小限にしましょう。自由放任主義にしましょう。お金持ちを規制すべきではないという主義です。この「肩をすくめるアトラス」は、アメリカのビジネスエリートやとか共和党の茶会派(ティーパーティ)に支持されています。あの元FRB議長のアラン・グリーンスパン氏もこのアイン・ランド氏の一番弟子だったようです。
最後に、この小説には、次のような文章があります。
「『裁判所』は相当の大企業の社長たちが、彼らが破産することを遠まわしに納得せざるを得ないようにする。これらの企業のオーナーたちはガルトとフランシスコ・ド・アントニオと一緒にコロラド山中に消えるか去って行く。」
シャイアン・マウンテン空軍基地(Cheyenne Mountain Air Force Station)
アメリカ空軍の基地としてコロラド州コロラドスプリングス近郊にあり、冷戦期には北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)の地下司令部が所在した場所として知られていました。花崗岩の山体中に作られた地下施設であり、地上より約1.6kmほどのトンネルの先に施設が設けられています。重さ25tの耐爆ドアが2つあり、内部の建物自体も核出力数Mt級の核爆発が数キロ以内で発生しても耐えられるようになっています。核シェルターとして内部での生活が可能であり、食堂、医療施設、運動施設、売店などもあります。非常用発電機も装備し、化学兵器や生物兵器、放射能については除去される換気システムがあります。
|