私自身、アメリカで教育を受け、日本でも起業したということでアメリカで考えていたこと、日本について考えたことなどをコラム形式にして書いています。
最初の頃は、アメリカから見た日本を中心に気持ちが先行していたため、欧米人の価値基準で日本について書いていました。
しかし、日本在住歴を重ねていくうちに、自分では魅力だと思っていた欧米の様々な制度や特徴が、必ずしも正しいとは言えないことを知るようになったわけです。
例えば、教育制度に関して言えば、ある国や地域では学費は無料もしくは安価ですが、大学へ進学できる人数は限られていることがわかりました。さらに、多くの欧米人は長く休暇を取る傾向がありますが、会社や消費者に対して迷惑がかかっていることを知らされました。
すべての物事には表(陽)と裏(陰)があるものです。人間の短所と長所が表裏一体のように、一見優れているように見えても、よく考えるとそれはそれで問題があったりすることもあります。
光を浴びるのはだいたい表面ですが、注目すべきは多くの場合で裏面であることも多く、お客様に対するサービスが自慢の日本で、過労死が起こっていることに注目する必要があるということです。
だからこそ、陰と陽を比較するのは正しいことではなく、フェアでもないわけです。攻撃力が高いアメリカ人と守備力が高い日本人を比較して並べたところで、攻撃力が高いアメリカ人の方が優れているわけではないということです。守備もしっかりしておかないと全滅する可能性もあるわけです。
背景に触れずに単純に外国と比較することなどできません。例えば、アメリカ人とヨーロッパ人の働き方や労働法の仕組みも大きく異なっており、結果だけで優劣つけることはフェアではないと思うわけです。
そして、それぞれの国では問題があって、一般的にドイツやフランスは残業がない国ではありますが、実際は残業をしている人々もいます。また、有給休暇は60日以上も取れますが、その分の仕事は確実に滞ることになっています。
一方、日本では有給休暇は平均15日程度ですが、ドイツ人やフランス人のようなことをすれば日本の消費者(お客様)は受け入れることはできないと思われます。何しろ1ヵ月も担当者が不在ということになれば怒り狂う人々がいるわけです。
他方、そういうことに触れなければ、それは休暇を取りつつも社会全体が問題なく回るヨーロッパが優勢という印象操作になりかねません。
そういう意味では、会社を辞めてもある程度生活できると考えている方もいますが、未来のことを何も考えていない方もいるということです。実際に、お金がなくても何とかなった方や、何ともならなかった方もいます。
要するに、自分が何とかなったからといって、他人でもできるものと関上げ、同じ土俵で語るというのは当然フェアではないと思います。
ところが、実際にそれができずに心が傷つき、命を落としている方さえいます。それなのに、自分が何とかなったからと、他でもできるはできるというのは少し乱暴すぎるように感じます。経験論を書くのは自由ですが、強い言葉で煽ることで他人を追い詰めることになる可能性があります。
私自身、それほどすべて精査してから発言しているわけでもなく、潔癖症でもありません。ただ、何かと比較するのであればあくまで同じ土俵に立たせなければ、意味がないものになると考えています。
そういう意味で、公平で中立な立場でないとしても、フェアな視点を持つように気をつけていこうと思うわけです。フェアな視点で物事を語るためには、かなりの時間をかけて調べ、考える必要があります。
当然、それでも完璧でなく、視野が狭かった時は何かで補足するというある程度の柔軟性と素直さも必要です。今後、文章は一方的に完成形を相手に直接伝えることになるため、心掛けていきたいところです。
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