新型ウイルス「中国が秘密開発した生物兵器」トンデモ説が駆けめぐった一部始終
 (出典:2020年1月31日 Business Insider)
私は、コラムを書く時に必ず根拠となる事実が存在しているのかを英語や他の外国語でインターネットを駆使し、徹底的に分析することにしています。
なぜかと言えば、大手マスメディアをはじめ、個人のブログであってもその「フェイクニュース」に簡単に騙されてしまうからです。「コロナウイルス」の特許は、前回、「European Patent Office(特許庁)」に「ピルブライト研究所」が取得しているのを見つけました。
ただし、この特許は2004年頃の「SARSウイルス(SARS-CoV)」のものであり、ピルブライト研究所はワクチン開発のためにその元となるウイルスの特許を取得したことがわかりました。今回のコロナウイルスは「2019-nCoV」という名称がついていました。
Google Patents(Googleの特許文献の検索サービス)よりhttps://patents.google.com/patent/EP3172319A1/en
 (出典:Google Patents)
結局、ビル・ゲイツの関与はないことがわかり、単にウイルスのパンデミックに強い危機感を持ったゲイツは、家畜のウイルスを専門に研究している研究所に資金援助し、シミュレーションを使っただけのことです。
一方、アメリカの掲示板では「Qアノン」が、「FEMA(アメリカ連邦緊急事態管理局)」がトランプ大統領に戒厳令の発令を提案したと投稿し、その情報が世界中に拡散しているようです。しかし、そのような事実は何もないことがわかりました。
このように、何も証拠がない情報だけではなく、それなりの証拠が存在する情報もあります。例えば、イスラエル軍の元諜報機関員で生物兵器の専門家である「ダニー・ショハム」は、新型コロナウイルスは、「武漢国家生物安全実験室」から漏れたものが原因であると述べています。
新型肺炎、米メディアが報じた「研究所が発生源」説
 (出典:2020年1月29日 Yahooニュース)
当然、ウイルスが漏れたことを証明する事実があるわけではないため、その説に批判する記事も出てきています。ワシントン・ポスト紙は、「専門家は中国のコロナウイルスと兵器研究を結び付ける理論の嘘を暴く」という記事で反論しています。
専門家によると、新型コロナウイルスのDNAを調べると、人工的に開発された痕跡はなく、明らかに自然に生成したものであるとしています。また、毒性が比較的弱く、広い範囲に拡散する新型コロナウイルスは兵器としての特徴は持っていないと述べています。
さらに、「武漢国家生物安全実験室」という研究機関は、テキサス大学医学部と関係が深く、フランスが設立にかかわったオープンな研究機関であるとも主張しています。中国軍の研究機関とは考えられないとも語っています。
新型ウイルスを素早く識別した中国の反応は評価に値する ― 米誌
 (出典:2020年1月17日 Record China)
そして、この機関の安全管理は世界トップクラスで、たとえ新型コロナウイルスの研究を行っていても、ウイルスが外部に漏れるとは考えにくいとも言っています。
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