米カード債務残高、4?6月は過去最高 11年ぶり延滞率
(出典:2023年8月9日 日本経済新聞)
今、世界中で大きな変化をもたらしているのが社債や事業・住宅ローンなどの「金利上昇」であり、日本国債の金利も1%に向かっています。
今後、銀行などで組んでいる事業ローンや住宅ローンの金利が上がり、返済できなくなったり、銀行も大量の不良債権を抱えることになるのは間違いありません。地方銀行が破綻する可能性も高く、財務省や日銀が対応できるとは到底思えません。
戦後、日本の金融システムはアメリカをお手本にして構築されており、もしアメリカ発の金融危機が起こった場合、日本にもその影響が及ぶことは避けられません。実際に、今年3月にアメリカにある4行の地方銀行が破綻しました。
しかし、まだ事業・住宅ローンの崩壊は起きておらず、財務状態が厳しい銀行の連鎖破綻も起こっていません。ただし、米国債(10年もの)の金利は5%を超え、クレジットカード決済も含め、支払いができない会社や個人が増えている、と報道されています。
米消費者信頼感指数、9月は4カ月ぶり低水準-見通しが悪化
(出典:2023年9月27日 Bloomberg)
現在、アメリカの「消費者物価指数」は3%台を維持していますが、食料品は4%台で、家賃が7%台、そして賃金が6%上昇しています。つまり、生活するのに必要な住宅や食料、衣類などは手に入るということです。
日本とは異なり、アメリカが意外と好景気(経済成長率は2.1%増)なのは賃金上昇率が高いからです。そして、それが物価高の原因にもなっているというわけです。その結果、アメリカでは金利が高い状態が続いていくことになります。
実際に、「消費者信頼感指数」というデータを見ると、今年9月は83.3から73.7に急落しており、このまま80を下回る状態が続けば1年以内に景気後退に突入するとされています。ちなみに、住宅ローンの金利はすでに8%台まで上がっており、住宅が売れなくなっています。
そもそも、住宅ローンやクレジットカードの審査が厳しくなっているようで、破産件数も昨年同月比で18%も増えています。会社・個人とともに、破綻申請数が史上最も多くなっており、コロナからの回復は2021年9月で底を打ったと考えられます。
長期金利の引き上げが止まらない!企業4割「事業に大きくマイナス」の悲痛、いずれ住宅ローンにも
(出典:2023年10月6日 日刊ゲンダイDIGITAL)
たった1年半しか持たなかったバイデン政権のコロナ対策でしたが、日本の岸田政権はまともな対策すらしなかったように思います。安倍政権が、消費税を10%に引き上げた2019年10月時点で日本はすでに景気後退に入った可能性があります。
ただし、当時の金利は実質0%であり、これから金利上昇の怖さが理解されていくように思います。もし支払いができなくなる会社・個人が増えれば、大企業や銀行でさえ経営が厳しくなっていくということです。
9月の英消費者物価、6.7%上昇 4カ月ぶり鈍化せず
(出典:2023年10月18日 日本経済新聞)
一方、イギリスの「消費者物価指数」は6%台後半でアメリカより2倍高く、食料品は13%台で、家賃が6%台、そして賃金が7%上昇しています。つまり、イギリスでも生活するのに必要な住宅や衣類などは比較的手に入るということです。
問題は食料品の価格が高すぎることで、賃金上昇率が7%では食べたいモノを買うことができない状態です。特に、砂糖やオリーブオイル、そして野菜が値上がりしており、アメリカと同様にスーパーなどで万引きが多発しています。
イギリスでは、すでに2008年に起きたリーマンショックの時を上回るほど大量リストラが実施され、若い世代を中心に失業率が徐々に上がってきました。当然、その原因は物価高であり、中央銀行(イングランド銀行)が政策金利を上げているからです。
原材料高騰で仕入れコストが上がれば、大企業がまず行うことはリストラでです。なぜかと言えば、上げた給与を下げることができないからです。リストラされた後、これまでのように入社・転職できるかどうかはわかりません。
イギリスと日本の共通点は、1970年代に大規模なインフラ整備を実施したことです。建物や道路、橋、水道管、電柱など公共物の寿命が近づいており、経年劣化で事故が起きる前に何とか再整備する必要があります。
ところが、景気がさらに悪化し、税収と人手不足で再建計画を立てられる場合ではないようです。2024年に景気後退入りする場合、社会生活が機能しなくなるかもしれません。ユーロ圏も含め、先進国は軒並み厳しい経済状況が続いています。
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