2018年8月現在、日本列島は災害列島そのものになっている感があります。しかし、これだけ日本各地で大災害が起きているわけですが、日本人の多くは想像力や危機意識がありません。「まさか自分だけは大丈夫」と思い込んでいる方が大勢います。
7月上旬に起きた西日本豪雨の時、「大丈夫だって。死にはしないよ。」などと頑として避難を拒む父親のYouTube動画がアップされていますので参考としてご覧ください。
広島県真備町に住む35歳の息子さんがスマホで59歳の父親を撮影している動画ですが、息子さんが言っていたように最終的には家はあっという間に水没してしまったというわけです。しかし、この姿が今の日本人の平均値とも言えそうです。
さらに、「ハザード・マップを見たことがない」とインタビューで答えていた被災者もいたことから、今回被災されたほとんどの方が知らなかったと思われます。ハザード・マップを見たとしても、実際に歩いて確認した方となると全体の1%以下になってくるものと考えられます。
さて、このコラムをお読みになられている皆さんはいかがでしょうか?市町村が作成したハザード・マップを確認したり、指定された避難場所まで歩いてみたことがあるでしょうか?
しかし、そのハザード・マップや避難場所が安全なのかというのも、まずは歩いてみないと実際の土地の高低差や避難経路の状態もわからないわけです。しかも、ただ歩くだけではなく、ご家族で洪水や津波、そして火災など様々な状況を想定し、地震が起きた時に出口が塞がれる可能性があったり、避難経路で火災が起きることになれば通れなくなるなど、お互いに知恵を出し合い、最も有効な避難ルートや緊急避難場所を共有しておくことが重要です。
本当に家族を大事に思うのなら、まずは自ら率先して話し合う時間を持つべきです。そして、自治体の安全に対する取り組みにも真剣に参加する必要があると思います。相手が役所だろうと、発言や言動に怪しいところがあると思えば堂々と発言することも必要です。
7月末には台風12号が神奈川県から入って来ましたが、小田原の海岸沿いの国道でが15台の車が高波に巻き込まれたと報道がありました。私自身、テレビやスマホでも注意報が出ていたわけですが、台風の真っただ中に海岸道路を走ること自体が信じられないわけです。
私なら、いくら時間がかかったとしてもルートを迂回し、仕事やその他の人間関係などの事情があるにしても、命より大事なことなどないはずです。わざわざ台風が来ている時に海岸沿いに行くという方の考えの甘さや浅はかさが非常に気になります。
さらに、その近辺にあった熱海のホテルでは夕食のバイキング中に高波が窓ガラスを突き破るというニュースが放送されましたが、これなどもホテル側は回避することができたはずです。そもそも波によって海水が展望ガラスに当たっているにもかかわらず、呑気に食事をすること自体が私には理解できません。
話を7月上旬に発生した西日本豪雨災害に戻しますが、結果として200名以上の方が亡くなりました。こちらも「雨などで死ぬほどではない」として避難しなかった方が大勢いたということです。
熱中症で亡くなった方にも同じことが言えますが、このような思考は「正常性バイアス」と呼ばれています。つまり、認知にバイアスがかかっているため、ますはバイアスを取り払うことから全てが始まるということになります。
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