ポスト・コロナの世界経済はこうなる──著名エコノミスト9人が語る
(出典:2020年4月23日 Newsweek)
2020年4月、私たち人類はこれまでの常識や価値観が全く通用しなくなった未知の領域に入ったように思われます。
2011年3月11日に起きた東日本大震災の時も同じような感覚を覚えましたが、今回の世界的パンデミックは規模や被害者数などを考えると9年前をはるかに越えています。安定した確かな手触りのある慣れ親しんだ世界は、もはや戻ってこないのではないかという不安感を感じます。
IMF、世界経済見通しを公表。もし「2021年にV字回復」しても欧州には深い傷跡残る
(出典:2020年4月20日 BUSINESS INSIDER)
今回のウイルス蔓延によって、世界経済が大変な状況になっていますが、4月17日に発表された「国際通貨基金(IMF)」の予測によると、もしパンデミックが6月までに収束し、後半から経済活動が再開したとしても、2020年の世界経済の成長率(GDP)は-3%であることがわかっています。
この数値は、2009年の世界的金融危機時の-1.6%をはるかに下回っており、2020年には世界各国の91%がマイナス成長になる見込みです。2009年のリーマンショック(世界金融危機)後の63%を上回っています。
しかし、パンデミックの収束後には世界経済はV字回復し、2021年は+5.9%の成長率となるとも予測しています。それでも世界経済は、2022年までは2019年の水準までは戻らない可能性があるとしています。
特に、欧米諸国や日本のような先進国だけで考えると、2020年は-6.0%の成長率で、2021年は+4.5%となる予測が出ています。この予測は、新型コロナウイルスのパンデミックが早く収束し、2020年後半には世界経済が活動を再開するという楽観的なシナリオでしかありません。
国際通貨基金(IMF)は、その他にも悲観的なシナリオを用意しています。二つ目のシナリオは、パンデミックによる都市封鎖(ロックダウン)が6月までに収束せず、年末の12月まで続くシナリオです。その場合、世界経済の成長率はマイナス6%まで下がることがわかっています。
三つ目のシナリオは、2021年に新たなパンデミックが襲うと予測です。その場合、2021年の経済成長率は+0.8%しか回復しないとされています。最後のシナリオは、この2つのシナリオが合体した場合です。
つまり、パンデミックが今年6月か7月で収束せず、欧米諸国のロックダウン(都市封鎖)や日本の緊急事態宣言(外出自粛)の期間が12月まで延長され、さらに2021年に新たなパンデミック(ハンタウイルス)が発生するという最悪のシナリオであるということです。
その時、いよいよあと2か月で世界的パンデミックが収束し、世界経済は2021年には+5.8%の経済成長率になるというシナリオは成立しなくなるわけです。このままでは、2021年も-2.2%に落ち込む可能性があります。
結局、今年、来年と2年続きのマイナス成長となり、V字回復どころではないかもしれません。この時、日本を含む先進国の財政支出(国債発行〈借金〉)は対GDP比で約10%も増加し、政府の債務は約20%も増えることになります。
「IMFの世界経済見通しはとても楽観的」
(出典:2020年4月16日 中央日報)
しかし、IMFのシナリオが楽観的過ぎるという声もあり、新型コロナウイルスが進化し、抗体がない状態が長く続く可能性もある中、予想以上にワクチン開発に時間がかかり、市場に出回らないことも考えられます。そうした時の影響は、4つのシナリオをはるかに超える事態になるのは明らかです。
「コロナ大恐慌」日本人にのしかかる大きな難題
(出典:2020年4月20日 東洋経済Onlin)
要するに、戦後最大の大不況どころか、1929年から1940年まで続いた始まった「世界大恐慌」に匹敵する恐怖のシナリオであるということです。特に、1932年までの3年間は世界のGDPは-15%まで落ち込みました。
IMFは、そこまで予想はしていないものの、もし最後のシナリオになればここまで落ち込む可能性も否定できなくなってきます。当然、日本でも大量の失業者が出てくることは間違いありません。
1932年までのアメリカの平均失業率は約25%でしたが、大手投資銀行のJPモルガンは今年4月~6月までの失業率は20%になると予想しています。これは当時の世界大恐慌に匹敵する水準であるということです。
|