バイデン氏が継承するトランプ路線 転換アピールの中で
(出典:2021年2月22日 朝日新聞)
2020年1月20日、ワシントンD.C.の厳戒態勢の中でバイデン政権は成立したかのように見えました。
情報リテラシー能力がない日本人の多くは、相変わらずテレビや新聞から情報を得ているので、未だに「トランプ政権が悪夢のようだった…」と思い込まされているわけです。
同盟国を無視した「アメリカ・ファースト」という一国主義政策や、WHO・パリ協定からの脱退、さらに新型コロナウイルス対策の甘さなど、トランプ大統領の悪い部分しかマスメディアは報道しなかったということです。
実際に、トランプ政権時の経済は順調でしたが、そんなプラスの効果は吹き飛んでしまうほど、アメリカでは社会の分断が進んでいます。リテラシー能力を持たない世界中の人々は、バイデン政権に多様な価値観や意見を尊重する民主主義の本来の価値に戻ることが期待しています。
バイデン政権は、発足当初から矢継ぎ早に大統領令を出していますが、「トランプ政権時とほとんど変わらない政策」であることは明らかです。例えば、トランプが脱退を表明したWHOやパリ協定、イラン核合意などは何も進んでいないのが現状です。
その他、日本やEUなどの同盟国との国際協調体制の再構築は進展が見られず、本当のアメリカ大統領がドナルド・トランプであることがわかってきました。実際に、バイデン政権では人々の期待に答えることが困難であるように思います。
Almost half of Republicans would join Trump party: poll
(出典:2021年2月21日 THE HILL)
一方、アメリカではおよそ半数の共和党員がもしトランプが新しい政党を作れば、現在の共和党の組織を捨ててそちらにつくと回答しています。アンケートによれば、現在の共和党につくと答えた人は27%にとどまり、46%がトランプを選ぶとされているわけです。
そのトランプは、前大統領オフィスをフロリダ州にある別荘内に立ち上げ、トランプ政権時の政策の実現に向けて動き始めています。1億人のアメリカ国民が支持するトランプ陣営の勢いはまだまだ健在です。
2月現在、多くのトランプ支持者たちが全米各地におり、武装した民兵組織のミリシアやプラウドボーイズなども「テロ集団」と認定されながらも活動を続けています。また、トランプ陣営には、巨額の寄付金が集まっているようです。
2022年の議会(中間)選挙には、トランプ政権の元側近や高官が立候補する動きがありますが、トランプ陣営は全力で支援すると発表しています。このように国内が不安定の中、バイデン政権がトランプの支持者たちを説得できるとは思えません。
外交問題評議会(CFR)との懇談及び昼食会安倍総理スピーチ
(出典:2014年9月23日 首相官邸)
そうしたバイデン政権の背後いる勢力についてですが、閣僚にはCFR(外交問題評議会)というシンクタンクから6人も選ばれています。ジャネット・イエレン財務長官や、アントニー・ブリンケン国務長官は長くCFRに所属していました。
つまり、バイデン政権は「CFR政権」であるということです。CFRは、アメリカの歴代政権で世界戦略を立案する組織であることは知られていました。ウォール街の金融機関大手を基盤に、アメリカで最も資金力のあるシンクタンクです。
CFRは、第一次世界大戦後からイギリスに代ってアメリカが世界の覇権国となると予想していたと言われています。だから、ウォール街を中心とした巨大資本がアメリカ中心の世界秩序を形成しするための業界団体となったわけです。
例えば、1939年に国務省からの依頼を受けて始まった「戦争平和研究研究会」というプロジェクトがありました。このプロジェクトは、戦前・戦中・戦後のシナリオや秩序に関する調査研究を徹底的に実施し、膨大な量の報告書が提出されています。
要するに、アメリカが第2次世界大戦に参戦する2年前から、戦後はアメリカが世界覇権国になることを予想し、世界秩序のシナリオを描いていたことになります。当時、ヨーロッパ戦線ではドイツが戦争に勝利する可能性がありました。
しかし、1943年頃からソビエト連邦が優位になり、戦後はアメリカとソ連で世界を二分する冷戦構想が出てきたわけです。実際に、アメリカは西ヨーロッパや日本、韓国を支配して最大限の利益の獲得が許されることになりました。
Japan seeks dialogue with Myanmar military after coup
(出典:2021年2月5日 NIKKEI Asia)
この時、いわゆる「西側諸国」には日本も組み込まれており、アメリカ資本の支配領域であったということです。ところが、今後はトランプによってアメリカ(DS)の覇権が衰退し、西側諸国側の日本や韓国は中国傘下に組み込まれていくことになりそうです。
アメリカ覇権が衰退して欧州連合(EU)は混乱していますが、実利重視の日本や韓国は対米従属を諦めて中国の傘下に静かに移る傾向を強めています。私たち日本人は、アメリカ従属から中国従属に移る転換点にいるということです。
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