日本車6社の米新車販売5%減 7~9月、半導体不足で失速
(出典:2021年10月2日 日本経済新聞)
最近、欧米メディアで報道が増えているのが、労働力不足によって需要と供給のバランスを崩していることです。つまり、サプライチェーンが機能していないということです。
特に、欧米諸国では新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、経済活動が徐々に再開されつつあります。実際に、ロックダウンなどの行動規制が全面的に解除され、国内の消費が急速に回復していますが、例えば新車を購入しても納車待ちが1年前後になっています。
このことは日本でも起こっており、お金があっても商品が手に入らない状態にあります。経済学的には、供給が需要に追いついていないわけです。しかも、あらゆる産業分野に見られる現象となりつつあるようです。
そして、あらゆる商品やサービスの価格が急上昇し始めています。その主な原因こそ、労働力不足によってサプライチェーンが機能しなくなったことです。電子部品の生産を行っていた東南アジア諸国では、未だにロックダウンが続いており、人手不足が起きています。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を強引に抑制した中国では、感染者が一人でも発見されるたびに港湾や工場を完全に閉鎖するため、何度も生産と物流が止まっています。しかも、政府が石炭の消費や発電量を減らす政策を行っています。
欧州で天然ガス急騰 日本の電気料金への波及懸念強まる
(出典:2021年10月2日 朝日新聞)
ガソリン価格が2年半ぶりに高騰している原因は、現在の世界的なエネルギー危機の一つはありもしない「地球温暖化」によって、石油や石炭の生産増加の開発が世界的に抑え止続けられてきたことです。
ここ数年は、燃焼時の温室効果ガスの排出が少ない天然ガスへの需要が急増し、それに便乗してロシアがヨーロッパ諸国への天然ガスの供給を減らした結果、天然ガスの価格まで高騰し始めました。
今、各国政府や企業は世界中で天然ガスを購入せず、石油や石炭の購入を増やしており、むしろ石油や石炭の需要が増えて価格が高騰しています。問題は、価格の上昇が労働力不足だけが原因ではないということです。
これから北半球では寒くなるため、免疫力が低下して感染拡大の第6波が始まる可能性は否定できませんが、こ感染拡大だけではどうしても説明がつかないことがアメリカやイギリスで起きています。
米人手不足の解消に時間 7月426万人、景気の足かせに
(出典:2021年9月9日 日本経済新聞)
まず、アメリカ労働省が発表した7月の雇用動態調査ですが、求人数から採用数を引いた人数は426万人と過去最多を更新しています。しかし、企業は採用人数を増やしたいですが、労働者の間では求職に慎重な動きが続いています。
結局、アメリカでは人手・能力不足が解消できず、景気回復が鈍化し始めています。ちなみに、7月の求人数は1093万人と過去最大を記録した6月を上回っています。ただし、採用人数は6月より16万人少なくなっていました。
具体的には、病院や飲食店、小売店、製造業など幅広い業種で人手不足が強まっているとのことです。個人経営の小売店や飲食店では、オーナー自身がレジ打ちや調理、皿洗いなど全てを行っているようです。
人手不足になっている理由は、バイデン政権が約200兆円の経済対策を実施したからです。失業しても給付されますが、低賃金の労働者によっては給付の金額が給与を上回っていたケースがありました。
要するに、働くなくてもこれまで以上に豊かな生活ができていたわけです。あえて働く必要はないため、様々な産業分野で人手不足は起きています。当然、能力が足りないことが今回のコロナで明らかになったというのもあると思います。
米 コロナ経済対策の失業保険上乗せ措置終了雇用情勢に影響か
(出典:2021年9月7日 NHK NEWS WEB)
実は、アメリカの失業保険の拡大対象は9月5日までに全ての州で終了しています。6月で終了している州もありますが、2か月延長しても期待するほど雇用人数を増やせなかったということです。
その結果、10月になって失業給付が貰えなくても働いていないアメリカ人が大量に存在するようになりました。コロナ騒ぎをきっかけに、アメリカ人の仕事や生活へ考え方が大きく変化したことで、コロナ前の雇用体系が機能するとは思えません。
三大ネットワークの一つNBCが、大企業に実施した調査では「人手不足を感じている」と95%が回答しています。さらに別の調査では、テレワークからオフィスに戻る場合、40%の従業員が退職を考えていると報告されています。
実際に、アメリカではたった23%しかオフィスに戻っておらず、業務のほとんどがテレワークで行われているのが現状です。日本でも似たような状況ですが、人手不足でも能力不足の社員はリストラの対象になることは間違いないと思います。
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