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イギリスで突然変異したウイルス株が猛威を振るっている

更新日 2020年12月23日

 

Unexpected detection of SARS-CoV-2 antibodies in the prepandemic period in Italy
2020年11月11日 SAGE journalsのリンク画像です。

(出典:2020年11月11日 SAGE journals)

 

新型コロナウイルスの起源について新たな情報が入ってきました。私たちは、これまで2019年12月に中国の武漢市で最初に発生したと知らされてきました。

 

ところが、それより以前にイタリアで最初の感染が確認されていたという情報があります。実は、最初の発症時期について確実なデータは存在していません。WHOも調査を続けていますが、明らかにしていないわけです。

 

病院には、大勢の血液サンプルがストックされていますが、新型コロナの抗体の存在を調査する研究者たちは特に感染者数や死亡者数が多かったイタリアにいます。結果として、武漢で特定される前にイタリアですでに感染が拡大していたと発表されています。

 

世界の感染状況
NHK 特設サイト新型コロナウイルスのリンク画像です。

(出典:NHK 特設サイト新型コロナウイルス)

 

現在、世界では7700万人を超える人々が感染(PCR検査での陽性)し、170万人が死亡しています。この数字には、コロナ感染とは関係のない事例も多数入っているわけですが、2019年12月前にウイルスの感染がすでに始まっていた可能性があります。

 

結局、起源については論文などで特定された情報はありませんが、トランプ大統領が主張するように「チャイナ(中共)ウイルス」であるかどうかはわかりません。また、イタリア以外にもイギリスの致死率が高いことを研究している学者も論文を発表して始めています。

 

今、ウイルスの突然変異がイギリスやイタリアを中心に起きていますが、なぜ欧米諸国は、日本など東アジアよりも感染者数が数十倍も多く、致死率も高いのかについてはワクチン接種が始まったイギリスが最も分かりやすいかもしれません。

 

変異種への警戒、各国で高まる 新型ウイルス
2020年12月22日 BBCのリンク画像です。

(出典:2020年12月22日 BBC)

 

12月現在、イギリスの致死率は3.5%前後ですが、5月には15%を超えていました。欧米諸国の中では最も高く、欧米諸国の感染者の遺伝子を解析したところ、新型コロナの死亡リスクを大幅に増加させる遺伝子の突然変異が見つかっています。

 

免疫機能を破壊するとされている変異したウイルス株は、特にイギリス在住で白人種の祖先を持つ患者によく見られていると報道されています。

 

Genetic variants are identified to increase risk of COVID-19 related mortality from UK Biobank data
2020年11月5日 medRxivのリンク画像です。

(出典:2020年11月5日 medRxiv)

 

最も特徴的なのは「DNAH7」という遺伝子の変異で、ウイルスが気管に感染すると異物を排出するための細胞が破壊され、肺炎が一気に悪化することが明らかになっています。現在、死亡するリスクを高める最も大きな要因ということです。

 

英文ですが、調査結果は公開されて査読されています。このように、遺伝子によってウイルス株は変異しており、感染した時の重症度や致死率、さらに感染率そのものにも影響を与えていることがわかります。

 

なぜ日本のコロナ重傷者・死亡者は少ないのか?
2020年12月7日 DIAMOND Onlineのリンク画像です。

(出典:2020年12月7日 DIAMOND Online)

 

一方、日本を含む東アジアでは毎年のように流行している「風邪ウイルス」の免疫が働いており、新型コロナの蔓延や重症化が起きにくい可能性が世界中のウイルス研究者から指摘されています。

 

こうした免疫の存在や、東アジアに住む黄色人種の私たちにとって特別な遺伝子の特徴は、欧米諸国の白人種と比較して感染拡大を抑制している可能性があります。

 

これまで個人レベルでの感染率や重症化リスクなどは、それぞれの遺伝的要因によって影響を受ける可能性があることは指摘されていました。ところが、人種レベルで重症化リスクに違いがあることは始めての発見であったように思います。

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