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治安悪化が続くアメリカ、何も気づかない日本の悪循環

更新日 2021年4月23日

 

ジョージ・フロイドさん死亡事件元警察官に有罪評決
2021年4月21日 NHK NEWS WEBへのリンク画像です。

(出典:2021年4月21日 NHK NEWS WEB)

 

昨年5月、ミネソタ州ミネアポリスで黒人のジョージ・フロイドさんが路上で警察官によって殺害され、全米各地で人種差別の撤廃を要求する「Black Lives Matter(BLM)」という抗議運動が行われました。

 

また、米民主党を指示する暴力行為も辞さない「アンティファ」などの集団と、トランプを支持する白人至上主義集団「プラウドボーイズ」が激しい衝突が起きました。

 

特に、民主党の地盤であるポートランドやシアトル、サンフランシスコ、ニューヨークなどの大都市中心部は銃声が鳴りやまず、警察官が殺害された事件が起きました。その後、政府が予算を削減したため、大勢の警察官や保安官が辞職しました。

 

当然、大都市の治安がさらに悪化し、殺人や強盗などの犯罪件数が増加し、今まで銃を触ったことさえない主婦までもが銃を購入し、銃と弾丸の売り上げが未だに増えていると報道されています。

 

急増するアジア系米国住民への差別や犯罪。在米日本人に聞く「今」
2021年3月24日 Yahooニュースへのリンク画像です。

(出典:2021年3月24日 Yahooニュース)

 

私自身、アメリカに住んでいた時は銃を常に枕の下に忍ばせて自衛していましたが、残念ながら住宅街で発砲したことは一度もありませんでした。しかし、サンフランシスコのような大都市で暮らすことがどういうことなのかを知っています。

 

そして、世界で最も多い感染者数と死亡者数を出したアメリカでは、会社員がリーモートワークで仕事をするようになり、富裕層だけでなく中流階級の人々も都市中心部に持っていた一戸建て住宅を売り払う事態となりました。

 

その後、大都市郊外にある治安がいい場所に住宅を購入し、次々と引っ越していったわけです。その結果、大都市中心部の土地価格は下落し、郊外の地価が上昇するといった逆転現象が見られるようになりました。

 

このように、人口が減少した大都市の税収が少なくなったため、警察や消防などの予算が削減されたことでさらに治安が悪くなるという悪循環が続いているのがアメリカの現状です。

 

「東京脱出」した人はどこへ? 23区からの転出者が増えた市区町、調べました
2021年4月19日 東京新聞へのリンク画像です。

(出典:2021年4月19日 東京新聞)

 

一方、日本でも東京23区内から郊外へ引っ越しする人が増えています。特に、神奈川県や千葉県の郊外に移住した人がほとんどで、今年3月までの首都圏の新築マンションの発売戸数は前年同期比37%も増えています。

 

日本でも郊外物件の人気が沸騰している反面、都心中心部の物件は土地価格や人件費の上昇で販売価格が高止まりし、売れ行きが立地などに左右される傾向が強まっていると言います。

 

私たち日本人の中でも、英語が読める人はアメリカの現状を知ることができ、これから日本でも起きることが予測できるようになることがわかったはずです。私たちが報道内容から目にした光景こそ、アメリカ国内が分断していることです。

 

その分断の象徴として起こったのが、今年1月6日に起きた何者かがアメリカ連邦議会議事堂に侵入した事件であったわけです。その後、1月20日にバイデン政権が誕生し、大規模な経済政策とワクチン接種の拡大によって急速に経済が回復しています。

 

日本とは異なり、アメリカは2019年に戻りつつあるような印象を受けますが、巨額の経済政策で財政的に問題を抱えているだけでなく、過去最高値を更新するダウ平均株価がいつ大暴落するかわからない状況にいます。

 

アメリカ人の約80%が何らかの株を保有し、それを年金や健康保険などの社会保障として運用していることから考えると、アメリカ人の多くは2020年に起きた様々な事件や事故を忘れがちになっているのかもしれません。

 

さらに、トランプについての報道が極端に少なくなり、まるで10年前の過去の出来事のような感覚を持ってしまいます。しかし、重要なことがマスメディアから報道されなくなっただけで、治安が悪化している悪循環はまだ続いています。

 

実は、週に1回のペースで、私はアメリカに住んでいる友人たちとチャットで話すようにしています。住んでいる場所はカリフォルニア州やテキサス州、マサチューセッツ州などですが、都市部と田舎で意識の大きな違いがあることがわかりました。

 

急増するアジア系米国住民への差別や犯罪。在米日本人に聞く「今」
2021年3月4日 Yahooニュースへのリンク画像です。

(出典:2021年3月4日 Yahooニュース)

 

最近の公式データでは、全米の大都市では前年度比較で殺人件数は約20%も増加し、販売された銃の数は前年度比較で10%も増加しています。ただし、前月比で32%も減少したことは、銃を求める人々がすでに購入欲を満たしてしまっている可能性があります。

 

いずれにしても、分断と混乱が拡大した2020年は多くのアメリカ人が銃を購入した際、購入者の身元をFBI当局が確認していることがわかりました。銃砲店から送られる身元確認の件数から、殺人事件数を予測しているように思います。

 

護身用の銃を購入しているのは普通の会社員が多いことから、バイデン政権でも都市部の治安悪化は継続しており、悪循環がまだ続いていることは明らかです。私は、今年中にアメリカの西海岸と東海岸、そしてテキサス州を訪問する予定があり、その様子を伝えていきたいと考えています。

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