今回のメインテーマは、国内外の報道では今年中に不況に入るとの予測されていますが、そうした状況の中でこれから金融危機が起こる可能性があるのかどうかについて書いていきます。
3月後半から、世界各国の金融市場では不安定な動きが続いています。特に、米国債券市場では12年ぶりに「3カ月もの国債利回り」が「10年もの国債利回り」を上回るという「逆イールド現象」が起きました。
これは、今後の景気後退期に入ることの予兆としてアメリカだけではなく、日本のマスメディアでも報道され、世界中の経済評論家や経済学者が認識しています。
いわゆる2008年に起きたリーマンショック以降は、短期金利よりもリターンが高い長期金利の方が高かったわけですが、一般的に多くの投資銀行やファンドでは、この長短の金利差を利用し、短期ローンを低利で借り入れ、高い金利が期待できる10年もの長期国債の商品で運用しています。
例えば、小額で流動性の高い短期資金を調達し、住宅ローン貸付や企業ローンなどの長期運用を行うのがこの方法です。
このような状況の中、逆イールド現象がこのまま継続することになれば、投資銀行やファンドは調達金利と運用金利が逆転したことで大きな赤字を計上し、経営破綻する可能性も出てくるものです。
これがきっかけとなり、長期ローンの貸し剥がしなどが横行し、景気は確実に後退することになるのは明らかです。こうした事情があるため、逆イールド現象は景気後退の予兆として見られるということです。
さらに遡ると、20年前の2000年に発生した「逆イールド現象」の約1年後には、「ITバブル」と呼ばれたアメリカのインターネットバブルが崩壊したことがありました。その6年後にも「逆イールド現象」が起こり、翌年2007年にはリーマンショックの発端となる「サブプライムローン問題」が発生しています。
逆イールド現象は、昨年11月にも発生しており、翌12月25日を最安値となった株価暴落の予兆となりました。
そのため、今回の「逆イールド現象」も本格的な景気後退期の予兆ではないかと見られており、それに世界各国の株価が下落しています。しかし、この逆転現象は一日程度しか続かず、翌日には正常化したため、株の相場の反転して上昇しています。
さて、今後の景気後退を予想する見方が日に日に多くなっており、米中貿易戦争の出口が見えなくなり始めた昨年10月頃から、「世界経済は深刻な不況に突入してもおかしくない」とする予測が、多くの経済学者やエコノミストから出てくるようになったということです。
特に、トランプ政権が課した高関税の影響を受け、中国経済の急減速の実態が明らかになってくると、こうした悲観的な予想はさらに増え、中国人民大学では、中国の実際の経済成長率はたったの2%以下とし、中国政府が公表した6.6%を大きく下回っており、中国経済の先行きを懸念させています。
イギリスのフィナンシャル・タイムスや、アメリカのウォールストリート・ジャーナル、そしてブルームバーグなどの経済新聞には、景気後退の予測が溢れており、それらの記事をまとめると、不況突入のタイミングは2019年9月頃から2020年年初になるではないかと予測されています。
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