干ばつ、世界で相次ぐ 農業への打撃が食糧供給リスクに
(出典:2021年9月21日 日本経済新聞)
ロシア軍がウクライナを侵攻して以降、私たちAtlasは日本でも食糧危機が起きる可能性が高いことを伝えてきました。
ちょうどウクライナ戦争の戦況と交互に「食糧危機」について書いてきましたが、すでに欧米諸国では侵攻前からインフレ率高騰で食料価格もかなり上がっていました。世界最大の小麦生産国である中国は、昨年の大雨で例年よりも作付けが遅れたため、今年の収穫量が過去最悪であることが予想されています。
また、世界第2位の小麦生産国であるインドは例年より気温が高く、アメリカやフランスなどの穀倉地帯では雨不足で収穫量が減少する可能性が出てきました。さらに、アフリカでは過去40年間で最悪の干ばつに見舞われていると報道されています。
そして、約4億人が消費する穀物を生産しているロシアとウクライナは、世界で取引されるカロリーの約12%をカバーしていました。しかし、西側諸国がロシアに対して経済制裁を課したことで、国外へ輸出するために米ドルで決済することができなくなりました。
大量の穀物類が貯蔵されている黒海沿岸のオデッサ港はロシア軍が占拠しましたが、周辺には機雷を置かれているためにコンテナ船の出港ができなくなっています。
世界の食料価格、5月は低下 穀物生産減少へ=国連機関
(出典:2022年6月3日 Yahooニュース)
国連食糧農業機関(FAO)が発表した5月の食料価格指数は、小麦は前月比で5.6%上昇し、前年比で56.2%も上昇しています。食品価格指数全体では前年比で58.5%も上昇し、世界で3億3000万人が飢餓に陥る危険性があります。
アフリカなどでは、すでに5000万人が飢餓寸前であり、食料価格の高騰が原因でスリランカやインドネシア、ペルー、パキスタンなどでは暴動や抗議デモなどの社会不安が起きています。今回の食糧危機の特徴は世界に広まるスピードが速いことです。
日本や欧米諸国のような裕福な先進国であっても、食糧そのものが絶対的に不足する状態に陥るかもしれません。債権国である日本は世界的に物価が安いですが、円安で食料価格が上がるのだけは避けられない状況にあります。
農家が悲鳴「生きていけるか不安」肥料の高騰で苦悩する生産者野菜価格にも影響か もうひとホリ 2022年6月9日放送
(出典:2022年6月10日 Youtube@HBCニュース 北海道放送)
札幌市郊外の長沼町や岩見沢市などでは、農家の年間コストの3/1以上にもなる肥料価格が高騰したことで、「堆肥」に切り替えるという方針転換が見受けられます。このような構造的な要因によって、日本に住んでいても食えなくなるということです。
今、食料争奪戦が始まっており、貧しい国や地域の人々に食糧が行き届かなくなりつつあります。「これまで考えられなかったような食糧危機を経験するかもしれない…」と、各分野の専門家が指摘しています。
やっぱり危ない!? 「糖質制限ダイエット」第一人者が急死した
(出典:2016年2月22日 現代ビジネス)
そのような状況の中、日本でも本格的な食糧危機が起こり、必要なカロリーが摂取できずに幻覚を見るようになって錯乱状態に陥り、最終的には餓死に繋がっていきます。食べ物を求めてスーパーやコンビニ強盗が増え、殺人事件が頻繁に起きることも考えられます。
つまり、カロリー不足になると理性が吹き飛んで自分をコントロールできなくなるので、社会不安が襲ってくるという恐怖を誰もが感じるようになるわけです。実際に、食料品の価格が少し上がっているのはその前触れであるように感じます。
食糧危機といっても、輸入品の高騰から国内物価が高騰し、「価格が高くて買えなくなる」というケースがあります。在庫はあっても買えないという現象です。また、在庫が絶対的に不足したり、「物流が止まって入手が困難になる」というケースもあります。
在庫があるのに高くて買えないという状態であるのに対し、食料そのものがなくなる状態というのは誰にでも等しく訪れることです。この2つのケースを分けて考えてみると、カネを持っていても誰も受け取れないという通貨の破綻が起きるわけです。
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