アメリカ連邦政府は、シリアで過激派組織イスラム国(IS)掃討作戦を展開していた米軍が撤退を開始したと発表しました。
米軍、シリア撤退「早期に」 米議会は反発
北朝鮮への空爆が秒読みとなった今年初めでしたが、今年の6月にシンガポールで米朝首脳会談が実施され、北朝鮮との戦争を回避したのは記憶に新しいことと思います。
開戦までに至らなかった理由として、11月にアメリカ中間選挙が控えていたことや、あるいはヒラリー・クリントンとの角逐があったためと考えられます。実際に、シリア内戦というのは、オバマ政権時代にヒラリー・クリントンが始めた戦争であり、米軍がシリアから撤退することでトランプ大統領の勝利ということになるというわけです。
11月の中間選挙が予想通りの結果となり、中東とシーソーのような地政学的リスクを抱える北朝鮮を空爆する可能性が再浮上しているものと思われます。イギリスではEU離脱の採決が2月に延期されたこともあり、世界中で北朝鮮問題に再び注目されつつあります。
中東についてはロシアに任せることで、ようやくアメリカは米軍の撤退にまでこぎ着けたわけですが、北朝鮮は中東よりもさらに複雑な状況にあります。そもそも北朝鮮を叩かなければ在韓米軍の撤退などできるはずもなく、朝鮮半島を北朝鮮主導の統一にさせないためにも、新たな動きが出てくる可能性があります。
これに対して、日本では沖縄にある米軍基地の撤退はすでに決定しているわけですが、自民党が辺野古問題を逆なでするような動きに出ており、このままで政治的に沖縄を中国に侵略されかねない状況が見えてきています。
中国の巨大IT企業ファーウェイの副会長を逮捕して以来、トランプ大統領は中国からも賠償金を巻き上げるつもりでしたが、中国側はアメリカに対して一切支払うつもりがないことが明らかになりつつあります。
というわけで、今考えられるのは、北朝鮮を空爆することでそのまま中国に押しつけるという選択肢です。実際に、この数年間でシリアを空爆した後、全権をロシアに押し付けたことで米軍のシリア撤退が可能になったということです。
また、北朝鮮が保有する核ミサイル問題の解決に対して、アメリカは朝鮮半島でも「戦争経済」を行うという可能性もあります。米軍が中東から引き上げる一方で、朝鮮半島を中心に戦争経済によって刺激させ、未だに在庫として残っている大量の軍事兵器のリニューアル化を急いでいるようにも考えられます。
実際に、非公開情報ではありますが、アメリカでは最先端ではない軍事兵器を処分しなければならない軍事産業の逼迫した状況から考えても、戦闘機を日本に押し売りするだけでは賄えないのは明らかです。
これまでのように、トランプ大統領というのはアメリカ国内の製造業再興、いわゆるアメリカ・ファーストのためには手当たり次第何でも実施してきました。そして、アメリカ最大の製造業というのが軍事産業であるということです。
2008年に起きたリーマンショック(世界金融危機)以来、もはや金融市場だけでは全ての国民を養うことができなくなりつつあるという、はっきりとした認識が世界中に広がっています。次は、国内の製造業再興のために、トランプ大統領は北朝鮮を皮切りに一気に中国をも揺るがしに出るものと思われます。
ところが、核戦争にまで至る可能性が高い大きな戦争というのは、結局は損害の方が大きいことが分かっています。そのため、陸軍ではなく、空軍による空爆の方が最も経済的に効率が良い方法だとして多用されることになります。
実際に、地上軍を送るとなると死傷した軍人の一生を国が面倒見なけばならなくなり、イラク戦争などの際に取り沙汰されたように、国の財政において出費の方が多くなるのは目に見えています。それに対して、空爆というのはミサイルを消費することになり、経済的に大きなメリットがあるということです。
いよいよ来年2019年には、米軍による北朝鮮への空爆の結果、全ての後始末は中国に押し付けることになりそうです。
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