NYダウ続落で始まる ウクライナ情勢にらみ買い控え
(出典:2022年2月15日 日本経済新聞)
ニューヨークダウの株式市場が続落し、35000ドル台に回復する兆しが見えてきません。アメリカの中央銀行FRBのパウエル議長が、インフレ率の上昇を防ぐために公定金利を上げる(利上げ)と発表してからもう2ヵ月が経ちました。
12月初旬に発表した後、すぐ1000ドル近くの株式暴落が起き、それから1月後半にも1000ドル以上下げて33000ドル台まで下げていました。このままではFRBの利上げと金融引き締めまでのロードマップ(進行予定表)が危うくなるため、ETF買いで株価の吊り上げを行ったわけです。
今後、世界各国の金融市場で株式の暴落が起きると思われます。まずは3月に向かって株価が連鎖的に暴落し始め、現在1バレル94ドルの原油価格も急落する可能性が高いと思います。今回、いよいよ日本や中国の不動産市場で異変が起きることになります。
社債に「売れるものは売れ」ムード広がる-ゴールドマンは現金選好
(出典:2022年2月15日 Yahooニュース)
日本でも、政府と日銀がETF買いで株価を吊り上げていますが、先週金曜日のニューヨークダウの終値やゴールドマンサックスなどの投げ売りで、リスク回避の流れが鮮明となりました。おそらく、各国政府は株価の維持ができなくなります。
なぜかと言えば、アメリカ国内の社会構造が崩壊しつつあるからです。特に、サンフランシスコやニューヨーク、シカゴなどの大都市ではコンビニやスーパー、そしてショッピングモールなどで大規模な略奪が起きています。
日本のメディアは一切報道していませんが、アメリカのバイデン政権は「1000ドル(約11万円)以下の万引きでも逮捕しない…」と決定し、以前の100ドルから一気に10倍に跳ね上がったわけです。
コロナで大量の離職者が出た影響もあり、貧困層が商品を略奪する範囲を緩和し、弱者救済を行っているということです。2020年3月以降、次々と大型スーパーの閉鎖が始まり、ショッピングモールから小売店舗が撤退しています。
その他、大都市から郊外に引っ越しした富裕層は、さらに民主党が地盤のカリフォルニア州やニューヨーク州から離れ、共和党が地盤のテキサス州やフロリダ州など税金の安い地域に移動しつつあります。
当然、一部の住宅価格がさらに高騰し始めたことで、すでにインフレを超えてハイパー・インフレに向かっています。FRBは、それを食い止めようと公定金利を上げるわけですが、もし1年かけて0.25%を7回上げても1.75%にしかならず、実体経済には追いつきません。
現在、実体経済のインフレ率は7%近いので、1ヵ月ごとに1%上げなければ意味がないと思います。金融の専門家たちが指摘していることは、株価暴落が起きた途端に利上げと金融引き締めを中止するのではないか、ということです。
アベノミクスで借金を増やした日銀の黒田総裁のように、FRBのパウエル議長も開き直る可能性があります。これまでの発言を全て撤回し、再び借金を増やすことになれば米ドルの価値そのものが消滅することになりかねません。
今回は、株価が半値以下になるだけではなく、ドル崩壊でアメリカ社会が大混乱に陥ることになると思われます。その影響は世界中に及び、日本円は1ドル50円まで円高が進むかもしれません。ドルでカネを借りている大企業とその関連会社では、連鎖的なドミノ倒産が始まります。
金価格が8カ月ぶり高値、ウクライナ情勢緊迫化で
(出典:2022年2月15日 Reuters)
金価格推移
(出典:2022年2月16日 田中貴金属工業)
それに対して、ニューヨーク市場の金価格が1オンス1880ドルで上がりました。東京市場でも1グラム7681円まで上がり、1万円まで到達することは時間の問題となりました。日本のテレビや新聞に騙され、そのまま株式や債権にしがみついている投資家は頭を切り替える必要が出てきました。
また、「アメリカや中国の言う通りにすれば成功する…」などと思い込んできた経営者たちも、これから大変な目に遭ういことになります。特に、IT企業が多いナスダック市場の下落幅は大きく、フェイスブック(メタ)はもう立ち上がれないと思います。
ソフトバンクGの第3四半期、ファンド事業で再び損失も-出資先下落
(出典:2022年2月8日 Bloomberg)
少し前までの時価総額は1兆ドル(110兆円)を超えていましたが、すでに25%も落としているので7500億ドル(80兆円)にまで来ています。社名をメタに変更して時点でマーク・ザッカーバーグの役目は終わり、メタバース事業は国防総省に引き継がれることになります。
日本でも、みずほ銀行などから巨額の借金をしているソフトバンクはすでに「破綻」しています。それでも経営破綻することはないですが、フェイスブックと同じように株価が落ちています。世界は大恐慌に向かって進んでいますが、今回もアメリカ発の金融危機が起きようとしています。
|