今現在、「このままでは中国がますます発展し続け、もうすぐアメリカをも追い越して世界を制覇するのではないか」と、ほとんどの日本人が不安そうに考えるようになっていると思われます。
もしトランプ大統領が言ったとおり、「在韓米軍3万人を撤退させたい」ということになれば、その後は中国が、北朝鮮と韓国もそして日本をも支配下に置くという時代が来ると感じている日本人も少なからずいるものと見ています。日本人の多くにとってこの中国覇権の話は不愉快なはずです。
戦後、アメリカによる日本の占領と属国としての支配がすでに73年間も続いています。しかし、在韓米軍に続き在日米軍が撤退ということになると、いよいよ日本は当時の昭和天皇と進駐軍GHQが交わした、2045年の完全主権回復の前の自立段階に入っていくわけです。
アメリカの撤退のすぐ後、それに入れ替わって中国が日本を属国にするようであれば、日本の軍事的自立どころの騒ぎではなくなります。だからこそ、安倍首相もアメリカにしっかりしがみついていくという判断をし、国民がそれについていくという構図になっているというわけです。
一方、自分自身の脳内を騙し続けている愚かな日本人たちは、日本に旅行に来ている豊かな中国人たちを目の前の現実として、未だに中国の発展にケチをつけ、中国崩壊論という有りもしない虚妄を言い続けています。
ところが、現大統領のドナルド・トランプには私たち日本人が考えるようなことが一切通用することはないように思います。「トランプは何をし出すか分からない男」という恐怖感が今、日本人の中にも生まれつつあります。
このままトランプが自分たちの利益のことしか考えない、つまり、アメリカ国民の生活を良くすることだけで精一杯な「アメリカ・ファースト」を今後も続け、アメリカ以外の国はアメリカにカネを払わさせるだけになれば、世界史に残るような人物になるのは確定することになりそうです。
一方のアメリカ以外の国から見ると、「アメリカは強そうにしているにもかかわらず、力がなくなっている。北朝鮮に対しても小さな戦争すらできない、図体だけ大きく強そうに見せかけているアメリカ軍人たちを抱えただけの国」と思われていて、本当にがっかりしています。
それでも日本人の多くは、「これから先もしっかりとアメリカについて行くしかなく、アメリカに逆らってはいいことは何もない」と、安倍政権と一緒になってどこまでも対米従属を屈辱的に続けているだけです。
6月12日に開催されたシンガポールでの米朝首脳会談では、とにかく上から柔らかく金正恩を押さえつけ、何が何でも北朝鮮の核保有問題を平和的に解決しようという、トランプのビジネスマン根性丸出しの手法は世界中の人々を意気消沈させてしまったわけです。
日本人の多くがあの時強く感じたのは、いざ北朝鮮や中国と有事となった場合、トランプは日本を守ってくれはしないということでした。これまで日本人が水たらして支払ってきた血税は、間接的にアメリカにもたくさん払わされてきました。
この日本国民の失望感、そして日本には全くといっていいほど手がない、という八方塞がりの茫然自失状態が今も起きているように思います。あれから2ヵ月が経とうとしていますが、日本人は未だこの虚脱感から回復してはいません。立ち直っていないように思われます。
それは政治・経済の有識者や知識人層だけはなく、ごくふつうの国民や少しは日本の将来や生活、国民のことを真剣に考えている層がそのように反応しているということです。しかし、トランプはあくまで「日本は安倍晋三さえしっかり自分が押さえ込んでいれば、日本国民も押さえつけられる」という考えでいます。
実際に、日本人は、本当の権力の中心である皇室や天皇陛下のことを、単なる象徴だと思い込んでいます。全てが小さくまとめられていることから、安倍首相がトランプに捨てられたらどうにも動けなくなるという、そういった仕組みの国にされてしまっています。
いずれにしても、この5年も政権が続いている奇妙な首相の下、私たち日本人はいいようにトランプに操られているのは明らかです。手も足も出ないと思い込んでいるのが多くの日本人の現状です。
一方、北朝鮮は米朝首脳会議後は、今まで以上に核兵器の開発を行っていると報道されています。要するに、核保有をこれからも続け、それを国際社会に既成事実として認めさせようという考えでいることはもう誰の目にも明らかです。
このままでは、北朝鮮の完全な非核化どころか、アメリカは「日本人、アジア人のためにアメリカの軍人が血を流すことはしない。北朝鮮で戦争などしない」と、急激に態度変更をしました。これがアメリカ白人たちの急激な思考転換であったわけです。
今でも、1950年の朝鮮戦争や1968年のベトナム戦争が泥沼化したあの時のことが、アメリカ国民のトラウマになっています。だから、アジアでの戦争などもうしたくないという気持ちに一気に崩れていっています。それをトランプはアメリカ大統領としてよく理解し、米朝首脳会議の場で体現したということです。
当然、北朝鮮はこれからも今のまま金正恩体制が推移することが決定しており、この問題はこの先もずっとずるずると続いていくものと思われます。北朝鮮は核兵器を持ち続け、長距離弾道ミサイルの開発も続けることでアメリカ大陸まで届く核ミサイルを持ち続けることになります。
結局、北朝鮮の問題など何も解決していないわけであって、このまま、これから先も私たち日本人を脅かし続ける北朝鮮の核問題は続いていくということです。
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