シリコンバレー銀行、リーマン・ショック以来の大型破綻 金融不安への懸念広がる
(出典:2023年3月11日 東京新聞)
アメリカの預金保護を担うアメリカ連邦預金保険公社(FDIC)は、カリフォルニア州にあるスタートアップ企業向け融資が中心のシリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻し、すべての預金を管理下に置いたと発表しました。
2000年まで、私はシリコンバレーで会社経営(流通業)をしていましたが、起業した1995年頃にSVBから資金調達をしたことを思い出しました。SVBは、他の銀行よりも高い金利を提示して預金を集めていたように思います。
そして、その資金で米国債に投資していたので、今回の雇用統計の発表で米国債の金利が急落することを察知した預金者が、数週間前から預金を引き出していたわけです。この責任は、2022年3月からFRB(連邦準備制度理事会)が急ピッチで利上げしたことによるのは明らかです。
SVBだけでなく、米国債を大量に保有している世界中の金融機関が含み損を抱えるようになり、「2008年に起きたリーマンショック(世界金融危機)以来の危機」などと、報道されています。一方、日本の銀行も日本国債の金利上昇に伴い、すでに損益を増やしています。
もはや、素人投資家が株式や債券で利益を出そうとすること自体がリスクであり、金融市場の乱高下についていけなくなるのは時間の問題となってきました。また、日本経済が成長することは妄想であり、これから仕事を失う人たちが増えてくると思われます。
4月の統一地方選挙で、自民党が争点にしたがっている「少子高齢化の対策」など意味がなくなっており、ひとり一人がどのように生き残っていくかを考える必要が出てきました。はっきり言っておきますが、もう奇跡など起こりません。
NYダウ平均株価4日連続下落米銀行経営破綻の影響を警戒
(出典:2023年3月11日 NHK NEWS WEB)
ニューヨークダウ・平均株価の下落は4日連続となり、下落幅は1500ドルが超えています。また、IT関連銘柄の多いナスダックの株価指数も1.7%の大幅な下落で、ひとまず売り注文を出す投資家が多い印象を受けます。
しかし、22日にはFOMCの利上げ発表が予定されています。政策金利を2.25%か、0.5%に上げたところで株価や債券に影響が及ぶのは間違いありません。特に、米国債や米国株をドル建てで保有している投資家は危険な状態にあるように思います。
田中貴金属工業:金価格推移
(出典:2023年3月11日 田中貴金属工業)
結局、米ドル建ての金価格が急騰したことで、円建ての金(ゴールド)を保有していた投資家だけが勝利したことになります。多少円高が進みましたが、月曜日の金価格は再び史上最高値を更新するものと考えられます。
The Weekly Wintersberger:Legendary
(出典:2023年3月10日 The Weekly Wintersberger)
ドル建て金価格は、1オンス=1750ドル前後で購入した投資家たちが必死で買い支えているのがわかります。日本円で言うと、メディアが金価格高騰と騒ぎ立てた1グラム=7000円前後の時で、ウクライナ戦争が始まった2022年2月頃です。
しかし、株式も債券の投げ売りが始まると虎の子の金(ゴールド)を売るしかなくなり、来週にでも金価格は1750ドルのラインを下回る可能性が出てきました。世界は、FRBによってもう1年ほど「金融引き締め」でカネが回っていない状態が続いています。
つまり、金(ゴールド)を安全資産として保有している投資家はまだ余裕があるということです。ただし、日本人投資家はそのことを知らないので金(ゴールド)を売ろうとはしないと思います。実際に、高値でも田中貴金属などでは売却する人の姿が見えません。
次のラインは1250ドルで、日本円にすると4000円台です。日本でも副島隆彦さんの金融本を読んだ多くの人が、2015年以降に現物の金(ゴールド)を購入しました。そして、最終的に300ドル、日本円では1000円台まで大暴落する可能性があります。
現在、円建て金価格は1グラム=8900円台ですから、もし1オンス=300ドルにまで落ちれば1000円以下となります。要するに、安全資産などと考えるよりも、利益確定して再度1000円台で買い直しするという戦略です。
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