反政府デモで少なくとも164人死亡か カザフスタン騒乱
(出典:2022年1月10日 BBC)
新年早々、カザフスタン最大の都市アルマトイを中心に大規模な抗議運動が起こりましたが、人々は政府が石油価格の引き上げたことに反対したとされています。
当初、デモは平和的に行われていましたが突然、暴徒化し始めてデモ隊と治安部隊の間で銃撃戦となり、少なくとも170人が死亡し、6000人が逮捕・拘束されたと報道されていました。
その後、ロシアは旧ソ連諸国の軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」に加盟しているトカエフ大統領の要請に応え、約3000人の平和維持部隊を派遣し、治安が安定したことで撤退を始めています。
Putin vows to defend ex-Soviet allies from 'color revolutions
(出典:2022年1月10日 Business Standard:インドのニュースサイト)
この騒乱についてロシアのプーチン大統領は、「カザフスタンが国際的なテロ活動の標的になった…」と述べ、さらに「テロ訓練を受けたと思われる者も含め、組織的に管理された武装集団が利用された…」と主張しています。
また、「海外(CIA)で訓練を受けたテロリストたちが暴徒化し、情報を共有するために2014年に起きたウクライナで起きた『マイダン革命』と全く同じ…」と、語っています。当時、首都キエフで勃発したウクライナ政府側とデモ参加者の衝突のことを意味しています。
その結果、とヤヌコビッチ大統領が失脚してロシアへ亡命することになりました。そして、このような認識はカザフスタンのトカエフ大統領も持っているようです。トカエフ大統領は、「今回も外国人によるテロリストによる攻撃…」と主張しています。
幸運なことに、今回のカザフスタンの反政府抗議デモは早い段階で鎮圧されましたが、ロシアのプーチン大統領やカザフスタンのトカエフ大統領が主張するように、CIAに育成された外国のテロリストが仕掛けたものと判断するにはまだ少し早いかもしれません。
2003年に起きたグルジアの「バラ革命」や、2004年のウクライナでの「オレンジ革命」、そして2005年のキルギスでの「チューリップ革命」など、中央アジアではいわゆる「カラー革命」という民主化要求運動(クーデター)が起こされました。
この3ヵ国では、それぞれ親ロシア派の政権が打倒され、欧米寄りの政権が樹立されたわけです。「カラー革命」は、アメリカ国務省とCIAの管轄下にあるNGOが反政府運動の組織や活動家の訓練に深く関わっていたことが明らかになっています。
欧米のマスメディアはロシアのせいにしていますが、どう考えてもディープステート(DS)の謀略であることは明らかです。当然、記事をコピペするだけの日本のマスメディアも、プーチンやトカエフの主張を否定しています。
カザフ北部はロシア領になる?プーチンの「次の標的」となった国で起きていること
(出典:2022年1月12日 Yahooニュース)
カザフスタンの騒乱が起こったのは、ウクライナ国境に10万人のロシア兵士が配備されている時であり、DSはロシアを混乱させるために仕掛けた可能性があります。バイデン政権とNATOは何度もロシアと交渉をしていますが、お互いに妥協することはないと思われます。
もし交渉が完全に決裂した場合、ロシアはウクライナに侵攻する確立がグンと高まります。ウクライナが内戦状態になると、ロシアは混乱を避けるために隣国のカザフスタンにも軍事介入することになります。
実は、ロシアにとってカザフスタンはウクライナ以上に重要な国です。ロシアと国境を接するカザフスタンは、情勢が不安定になると多くが難民となり、ロシアに流れ込む可能性があるとされています。つまり、ロシアはトカエフ政権を支える必要があるということです。
そして、カザフスタン国民の約25%はキリスト教徒のロシア系住民であり、75%のイスラム教徒と対立しています。もしカザフスタンでも内戦になれば、少数派のロシア系住民が襲われる危険性が少なくないようです。
カザフ大統領はなぜ自国軍でなくロシア軍を頼ったか
(出典:2022年1月15日 Yahooニュース)
また、カザフスタンにある軍事施設で最新の人工衛星や弾道ミサイル実験を行っているロシアは、自国に新たな施設を完成させるまで友好関係を構築しておく必要があります。原子力発電に必要なウランの採掘場もあるため、ロシアにとってカザフスタンは安全保障上重要な国となっています。
中国やロシアに近いトカエフ政権がクーデターで打倒されると、欧米寄りの政権が樹立される可能性があることから、ロシアは軍事的に介入して阻止しなければなりません。だから、ロシアはウクライナへの侵攻を実行することはないかもしれません。
私たち日本人は、欧米は正義でロシアや中国が悪であると刷り込まれているように思います。とことが、欧米諸国は社会主義から共産主義の段階に進んでいます。共産主義体制を経験したことのない現代の日本人は、アメリカは今でも資本主義国家だと思い込んでいます。
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