われわれは中国の歴史が「大転換」するのを目撃している
(出典:2021年9月30日 Yahooファイナンス)
中国政府による巨大IT企業への規制は一段と強化され、締め付けの対象は学習塾や英会話スクールなどの教育産業や芸能界にも広がっています。
規制強化の影響は中国国内だけでなく、世界中の企業にも影響を与えています。中国は、鄧小平時代の改革開放路線から大きく転換し、毛沢東時代の共産党の原点に回帰しつつあります。
今後、中国は世界の地政学的な変化を主導する動きになる可能性が出てきました。まず、総額30兆円を上回る巨額負債を抱える不動産大手「恒大集団」が経営危機に立たされています。「第二のリーマン・ショック」として、世界中の金融関係者が警戒を強めています。
もし、本当に恒大集団が経営破綻に追い込まれることになれば、株価や債券の暴落、そして不動産市場全体にも打撃を与えかねず、習近平政権の出方が注目されています。
AUKUSは対中戦略に有効か?――原潜完成は2040年、自民党総裁候補の見解
(出典:2021年9月28日 Yahooニュース)
一方、欧米諸国は中国に対抗するための新しい「安全保障条約」を創設しました。アメリカとイギリス、オーストラリアの3か国は、「AUKUS(オーカス)」という枠組みでオーストラリアに原子力潜水艦の最新技術(核ミサイル搭載)を提供することを決めています。
同時に、これまでオーストラリアがフランスと共同で進めてきた最新鋭の潜水艦開発計画は破棄され、中国が反発を強めています。その中国は、「環太平洋経済連携協定(TPP)」への加盟を正式に申請しました。
中国の習近平主席は、昨年からTPP加盟を積極的に検討すると公言していましたが、今年に入ってからTPP加盟国と非公式の協議を重ねていました。さらに、翌日には台湾もTPPへの加盟を申請しています。
他方、マレーシア政府は中国のTPPへの加入申請について支持する姿勢を示しています。中国との交渉は、早ければ来年にも始まる可能性が高く、中国に関連した様々な動きが加速しています。
債務上限引き上げなければアメリカは「破産」する──イエレン財務長官
(出典:2021年9月29日 Newsweek)
そのような状況の中、コロナ後は世界の地政学的な大転換が起きると、専門家の間では指摘されています。例えば、アメリカ下院議会は連邦政府債務の法定上限の適用を2022年12月まで停止する法案を賛成多数で可決しました。
共和党が同法案への反対姿勢を緩めていないため、上院は通過しない見込みとなっています。このまま議会が動かなければ、アメリカは10月18日にも手元資金が枯渇し、デフォルト(債務不履行)に追い込まれてしまいます。
つまり、世界の基軸通貨である米ドルが使用停止となり、代わりに中国の「デジタル人民元」を中心とした国際決済システムが基軸通貨になる可能性もあるということです。ちなみに、来年2月の北京オリンピック開催のタイミングでお披露目となる予定です。
「デジタル人民元」は、スマホ内の預金口座にカネが入るだけではありません。「スマート・ロジスティックス」という、世界中の生産地と流通(物流)をつなぐグローバルなサプライチェーンが付帯することになります。
日立物流:スマートロジスティクスのテクノロジー
(出典:HITACHI)
インターネットと商品が一体化する「IoT」、衛星から電波を飛ばす「5G」、ビッグデータや「AI」で未来予測をしたり、それを「ブロックチェーン」でつなげるなど、最新のIT技術を用いて物流のコスト削減や業務効率化、そして品質やセキュリティの向上を実現するというわけです。
航空便やコンテナ船、トラック輸送などで生産者から消費者に商品が届くまでには、輸送や保管、包装、荷役、情報処理などが必要です。「ロジスティクス」とは、ただ荷物を運ぶだけでなく、物流に関わる調達や生産、販売、回収などを一元的に管理して効率化することです。
2017年頃から世界中で多くのプロジェクトが計画され、導入が検討されていましたが、本格的な導入を促すきっかけになったのは、新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で起きて状況が変化したからです。
実際に、労働力不足や原油価格高騰などで、世界的に生産・物流システムに大きな問題が起きています。生産と物流の需要は増えているにもかかわらず、供給が追いついていないため、例えば自動車部品に使う半導体不足で納車が長引いている現状があります。
トヨタ不正車検6659台 販売店10社以上、信頼に傷
(出典:2021年9月29日 Yahooニュース*)
自動車メーカー最大手のトヨタ自動車は、生産と物流に必要な労働力の供給が確保できず、車検に手を抜いていることが報道されています。このように、価格が上昇している製品が出る一方、巣籠もり需要で通販が増えました。
コロナから復旧・復興しつつある国や地域では、1年半も抑制されていた消費が一気に回復し、あらゆる製品の需要が急速に増えています。しかし、労働力不足に悩む生産と物流の分野では、需要の増大には対応できずに供給不足が続いています。
いずれにしても、最先端のITテクノロジーを導入して物流をできるだけ自動化し、効率化する「スマート・ロジスティックス」は、生産・物流システムの危機を乗り越えるための解決策として導入され始めています。
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